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ATO通信 5236号

自宅を建てたら長生きしよう!

    (2012年1月31日更新)   執筆者:阿藤 芳明

  “行政指導”と言う名の税務調査?  建物を建築すると、相続税の計算においては、その評価は固定資産税の評価額をもとに行います。ご自身で使う建物なら、その評価額そのままですが、賃貸すれば更にその固定資産税の評価額の70%相当額。固定資産税の評価額は、実際の建築価額よりかなり低いので、相続税対策としては非常に有効な方法なのです。 が、建築後2~3年内にお亡くなりになると、その後の税務調査において意外な落とし穴が待っているのです。
 

 
   

1.預金の動きは必ずチェックされる!

 相続税の調査においては、本人の預金口座は勿論のこと、配偶者やお子さん名義の口座まで、大きな金額の入出金は必ずチェックをされる事に。
 仮に過去の通帳を紛失していても、税務署は事前にそれらの動きを7~8年前まで遡り、銀行等への照会文書で確認済みなのです。つまり、税務調査があると知って、慌てて過去の通帳を隠しても、焼却処分しても無駄なのです。
 そして、大きな金額の入出金はその使途や原資を問われる事になるわけです。一般論としては、100万円単位の動きと考えればいいでしょう。
 ただ、それは夫々の方の生活状況によって異なるため、100万円、200万円程度の事は、いちいち何に使ったのか、何の入金なのかを覚えていない事もあるでしょう。それは税務署も心得ていて、調査初日の午前中に生活実態の聞き取りを行う中で、金額的なラインが上下する事はままあるもの。

2.自宅の新築をすると

 さて、ご自宅を新築後2~3年で亡くなった場合、その後の相続税の税務調査は、とりわけ要注意です。と言うのは、調査の対象となる程の方の場合、その建築価額等も相応のものになることでしょう。税務署としては、建築の請負契約書や請求書、領収証と入出金とを照合し、資金の原資や受払いの状況、取引口座等の一連の流れを確認する事になります。  それはそれで大抵の場合は説明のつくことが多いでしょう。資金の贈与でもない限り、建築そのものが問題になることは通常はありません 。

3.家具の新調

 問題は、建築に付随した様々な支出です。その一つに、ご自宅が新しくなると、それに合わせて家具を新調する事です。
 通常、相続税の申告書上、生活用の家財を財産として計上する場合、概算で家財一式を数十万円。かなりの高級家具ではあっても、失礼ながら何年もすれば、財産価値など無いに等しいのです。それは特別にオーダーしようが、外国製の逸品であろうがお構いなし。時を経れば、少なくとも相続税法上の財産価値は、ひと山いくらの世界なのです。その意味では、高級家具も相続税対策に資するもの、と言えなくもありません。
 しかし、それはあくまでも数年以上の時を経過した場合だけ。預金の動きから高級家具の購入はバレバレです。購入後何年経っていればいいのかは難しい問題ですが、少なくとも2~3年しか経過していなければ、それなりの金額での財産計上を要求されてしまいます。
 彼らにはナン百万円もする家具など、想像もつかない物ですし、人間としての妬み嫉みがあるのかも知れません。兎にも角にも、新しい物にはそれなりの価値はあると覚悟しなければいけないのです。

4.庭園設備も相続財産か?

 もう一つ税務調査で問題になる可能性があるのは庭園設備です。こんな事例がありました。ご自宅を新築後、1年を待たずに亡くなられたのです。その翌年に相続税の調査があり、前述のようにご自宅の建築については入念な確認が行われました。  その過程で建物本体とは別に、庭園工事として800数十万円の支払いの事実が明らかになったのです。税務署はそれを財産価値のあるものとして、相続財産に加算せよと言うのです。
 相続税において財産の評価を行う場合、相続税法と言う法律では、財産の評価は『時価』で行う旨の規定しかありません。これだけでは実務は行えないので、国税庁は『財産評価基本通達』と言う細かなマニュアルを作成し、税務職員が評価する際の指針を定めているのです。我々税理士も同じ土俵で作業を行うため、通常はこの通達に則って評価を行っています。が、庭園設備自体の具体的な定義はこの通達にも定めが無いのです。
 と言うより、文化財的な価値があるものは別として、実務では一般の家庭の庭園を評価などしていないのです。問題は、庭園の評価より、竣工後間もない時期に亡くなられているため、その代金相当額を何がしか財産として計上しろとの要求なのです。税務当局の姿勢は毎度申し上げている"増差主義"の根性が見え見えです。現在も係争中ですが、過去にもこの手のケースはしばしば問題になっていて、結局は工事後の経過時間が争点。
 ご自宅を建てたら、兎にも角にも元気で長生きをすること、これが何よりの解決策なのです。
 
 
     
 

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