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ATO通信 5288号

正しい税務署との喧嘩の仕方

    (2016年5月31日更新)   執筆者:阿藤 芳明

  正しい税務署との喧嘩の仕方  税務調査に当たっては、当局とお客様の主張が異なり収拾のつかないことがある。税務署は調整が不能と判断すると、時として"更正"と言う強権を発動、職権で課税しようとすることも。これに対して従来から異議申立てをすることが認められている。が、所詮その課税をしてきた同じ税務署に対して文句を言うこと。通常その結論は変わらない。が、法令の改正で必ずしも税務署相手にその手続きをしなくてもよくなっている。では今後、税務署とはいかに戦うべきなのだろうか?
 

 
   

1.いきなり裁判は起こせない二重前置主義

 課税の可否をめぐって税務署と見解が異なる場合、最終的に税務署の主張に迎合すれば、修正申告書を提出して手続きは終了。問題は納得ができない場合だ。税務署も譲れなければ、更正と言う強硬手段を講ずるが、これに対しては異議申立てと言う手段で抗議はできる。ただ、更正をした当局相手への抗議であるため、基本的にはその主張が認められることはほとんどない。相手方である税務署ではなく、いきなり第三者の仲裁を求めることはできない仕組みになっていた。
 異議申立ての結果に満足できなければ、次は国税不服審判所と言う審査機関の判断を待つことになる。これを審査請求と言うが、それでも納得ができない場合、ここで初めて訴訟と言う司法の場に舞台は移る。裁判の前に審査請求、それに先立つ異議申立てと二重前置主義と言われる制度になっていたのだ。


2.喧嘩の相手にその非を認めさせられるか?

 今般この二重前置主義が改正された。税務署に対する異議申立てと言う手続きを経ず、当局の更正に対し直接国税不服審判所に審査請求ができることになったのだ。考えてみればむしろ当然で、この異議申立てとは、喧嘩を売ってきた相手に、あなたと私とどちらの主張が正しいか考えて下さいと言うようなもの。更正の結果が覆る事も皆無ではないが、ほとんど期待はできない。一種のセレモニーと言ってもいいだろう。その事にやっと気づいたのか、上記のような改正となった。
 ただ、いきなり審査請求する道の他に、『再調査の請求』と言って、実質的には従来通りの異議申立てをする道も残されている。つまり、選択肢が2つになったと考えればいいだろう。再調査の請求はあまり意味が有りそうには思えないが…。


3.審査請求の手続きをしても…

 それはともかく、税務署ではなく国税不服審判所に審査請求をしたとしよう。納税者側の主張はどの程度認められるのだろうか。下表をご覧頂きたい。最近5年間の統計表である。全部認容と言うのは納税者側の主張のすべてが、そして一部認容はその一部が認められたものである。直近2年間だけを見ても、7.7%、8.0%と一桁台の低さだ。逆の見方をすれば、税務署の勝率は9割以上と言う圧倒的な強さであることが見て取れる。長期的に見ても、12~13%程度しか納税者側の主張は認められていない。税務署との喧嘩はことほど左様に勝つのは難しいと心得ておいた方が良いだろう。
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4.それでも多少は期待ができる改正項目

 悲観的な事ばかりでもない。審査請求の手続きの中で、今後は喧嘩相手の税務署に質問ができるようになる。更には国税不服審判所の担当の審判官が収集した証拠資料等も閲覧ができ、コピーまでもが許されることになったのは朗報であろう。従来は何と税務署が提出した資料等の書き写ししか認められていなかったのだ。とかく納税者側には不利な扱いになっていた手続きが、今後は少しだけではあるが、有利に働く事にはなるだろう。


5.税務署はメンツがつぶれる事を何より嫌う!

 税務署に異議申立てをしても、ほとんど結論が変わることはないと申し上げた。ただ筆者にも、一度だけあまりにひどい更正処分への異議申立てが、後日覆った経験がある。調査が杜撰過ぎたのだ。当方としては当然審査請求を考えていたのだが、国税不服審判所まで行けば、税務署の敗色が濃いと判断したようだ。しかし、そこは税務署。更正が間違ってましたとは決して言わない。いわゆる中を取って収める妥協案を提案してきた。しかも、こちらが提出した異議申立ては取り下げ、税務署が自主的に再更正した形にしてくれとのご要望付き。税務署が部分的にでも"負けた"形は取りたくないのだ。メンツを重んじる税務署。異議申立ても、審査請求もいとわないぞ、と強気で税務署に圧力を掛けて有利な結論を引出し、実際には喧嘩をしない事が大切である。筆者は"戦う税理士"の異名を持つが、負け戦はしないのだ。
 
 
     
 

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