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5149号 税理士をも欺く(?)ダンシン!

平成16年 10月29日 税理士法人 エー・ティー・オー財産相談室

 『団体信用生命保険』という制度をご存じでしょうか?通称"ダンシン"と呼ばれ、銀行等から融資を受ける際、その銀行等を受取人とする生命保険です。そのため、死亡の場合はその時点で債務の返済が完了する仕組みになっています。さて、相続税の申告書の作成に際しては、税務署に注意するのは当たり前。じつは、お客様にも騙されないようにするのが税理士の職務、というなかなか厳しいお話です。

1.団体信用生命保険とは?

 前述のとおり、融資先の銀行等が受取人で、住宅ローンではお馴染みでしょう。特に住宅ローンの場合には、強制加入となることも多いためか、特別の健康診断もなく、通常の健康状態なら誰でも加入できる保険です。加入時に保険料の全額を納めるケースの他、年払い等の方法もあり、支払う方もそれ程負担感は多くはないようです。また、対象となるのは住宅ローンばかりとは限りません。賃貸住宅建築の際のアパートローンにも適用はあります。死亡事故の他、高度障害状態になった場合でも、その保険金で借入れ債務が弁済されるのがその特徴。死亡時等は遺族が手続きはするものの、保険金は直接銀行に入るため、保険が下りたという感覚はないかも知れません。

2.ダンシン加入の借入れは債務か?

 ここで、相続税の課税対象となる財産の計算方法を復習しておきましょう。不動産や預貯金等プラスの財産から、借金、預り金等のマイナスの財産、つまり負債を控除した差し引き計算で求めます。これらの計算時点はすべて相続開始時、通常は「お亡くなりになった日」時点での計算です。
 例えば、借入れをして賃貸マンションを建築しました。その際、ダンシンに加入です。相続税の計算上、通常はこの借入れも債務に該当し、マイナス項目となるわけです。何よりの証拠に、銀行の残高証明書には死亡時点の借入れ残高が記載されています。税理士だってこの残高証明を基に、相続税の計算をするはずです。くどいようですが、この借入れは相続税の計算上、マイナス項目なのです。

3.それでも本当にマイナス項目か?

 ある相続税の申告案件でのお話です。従前からのお客様ではなく、相続税の申告だけのお手伝いでした。したがって、被相続人の方の人となりも分からず、相続人の方にお会いするのも初めての状況で業務開始です。プラスの財産を把握し、マイナス項目の確認に作業は進展。残高証明書に記載された借入れ金を計算し、課税対象財産の計算は終了しました。
 が、しかし、です。じつはご主人の死亡後、奥様はすぐにダンシンの手続きをし、借入れは返済済みの状況だったのです。こうなると話は単純には行きません。確かに銀行の残高証明書には死亡日時点での借入残高は記載されています。しかし、直後にダンシンで返済済みである場合、ご主人の債務にはならないのです。相続人に返済の義務がないからです。決して借入金を債務に計上した上で、受け取るべき生命保険を財産として計上することはあり得ないのです。それは、ダンシンの受取人が銀行だからです。いずれにせよ、ダンシン加入の借入金は法律上は債務にはなり得ません。

4.ダンシンは税務署にバレるか?

 果たしてこのダンシン、税務署にバレてしまうのでしょうか?早速、検証に取りかかりましょう。
検証@通帳に保険金が振り込まれるか?
   保険金の受取人は銀行です。被相続人、相続人の通帳に保険金振り込みの記載はあり得ません。
検証A残高証明書の記載に問題はないのか?
   銀行に責任はないでしょう。仮になくなった日にダンシンの手続きをしても、その日に保険金が銀行に支払われるわけではありません。死亡日には借入れは、確かにあったのです。
検証B登記簿に記載されるか?
   登記簿には借入れについて、抵当権を設定した銀行の名前等は出てくるでしょう。しかし、ダンシンの記載まではありません。登記簿を見ても、借入れがあるという事実以外、何も分かりません。

 と、ここまで論じてくると、勘の鋭い方はひらめいたかも知れません。もしかして、借入れだけを負債に記載し、ダンシンの存在を黙っていたら、借入れ分だけ相続税は減少???

5.ダンシンの手続きをいつするか!

 ダンシンの手続きをすぐにしなければ、バレにくいことは事実です。相続税の調査でも、死亡後も相続人が借入れの返済を続けていれば、何の疑念もないでしょう。しかし、銀行は死亡の事実が分かれば即刻手続きをせまってきます。銀行に死亡を隠し続けられれば、可能性もないとはいえない、そんなところでしょうか。
 さて、先程の相続案件のお客様に戻ります。我々もダンシンの存在を知らずに作業を続け、分割協議書に署名の段になって分かったのです。お客様がもしこの時黙っていたら…税理士として、とんでもない間違いをするところでした。 税務署には要注意、お客様にはもっともっと要注意!
税理士も、これで結構疲れる仕事です。
  

執筆者:阿藤 芳明

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