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ATO通信

 
5190号 新聞等の報道だけでは不十分

平成20年3月31日 税理士法人 エー・ティー・オー財産相談室

1. 本当に今年の税制改正は小幅か?

 年末の恒例行事である与党の税制改正大綱が昨年も公表されました。新聞等の報道では、株式の売却益課税や配当に対する軽減税率等いわゆる金融・証券税制だけが大きく取り上げられています。小幅な税制改正とのスタンスです。しかし、本当に新聞等の報道を鵜呑みにしていいのでしょうか?実は大綱を注意深く見てみると、平成21年度から相続税が大幅に変更になる旨がはっきり謳われています。本来、世間的には大騒ぎをしていいはずの問題なのです。相続税の大改正に焦点を絞って考えてみましょう。

2. 事の発端は事業承継税制

 事の発端は事業承継、具体的には取引相場のない、いわゆる中小企業の株式の評価についての問題でした。その株式の相続税評価額が高額となり、かねてから相続し事業を承継すること自体が困難な状況になることが指摘されていました。上場会社の株式と異なり流通市場もなく、また、支配権維持のためにも手放せないのが実状です。処分はできず、相続すれば税負担ばかりがのしかかって来るのです。そこで今回の税制改正で浮上してきたのが、『取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度』です。一定の条件の下、その株式の相続税の8割相当額(但し、発行済み株式の2/3までの部分)を猶予するというものです。対象となる会社は、資産管理会社ではない事、経済産業大臣の確認を取る事等の条件付きになりそうです。いずれにせよ、要件を満たせば結果的に免除になり、朗報ではありますが、途中で満たさなくなった場合には、その時点で猶予税額の全部又は一部は打切られ、税負担が生じます。

3.現行の法定相続分遺産取得課税方式 

 話は変わりますが、現行の相続税の算出方法は、一般的には『法定相続分遺産取得課税方式』と呼ばれています。この方法は、まず全財産を法定相続人が法定相続分通りに相続したと仮定して、それぞれの相続人に税率を乗じ、その合計額である相続税の総額を算出します。そして、この総額を実際の相続割合に応じて按分するというものです。
 具体例で考えてみましょう。ご夫婦にお子さんが二人のケースです。ご主人の相続に際し、課税される財産の評価額合計が2億円としましょう。先ずはこの金額から基礎控除である8,000万円(5,000万円+1,000万円×3人)を控除します。
残額1億2,000万円が課税資産総額です。これを相続人である3人が法定相続分に応じて、それぞれ妻6,000万円、子供が各3,000万円を相続したとして、それぞれに適用税率を乗じます。

 妻  6,000万円×30%−700万円=1,1,00万円
 子一人  3,000万円×15%−50万円=400万円

3名合計で1,900万円が相続税の総額と言われるものになります。次に3人の実際の税負担ですが、妻、子1、子2が前述の2億円を5:3:2の割合で取得したとすれば、税金もこの割合で按分して、

 妻  1,900万円×5/10=950万円
 子1 1,900万円×3/10=570万円
 子2 1,900万円×2/10=380万円

となります。但し、妻については配偶者の軽減措置があるため、実際には納税の負担は生じません。

4.遺産取得課税方式への変更

 さて、この方式では、前述の株式を相続した相続人の税負担が減少することはその趣旨に合致しています。が、株式取得者以外の相続人の相続税までもが反射的に減少し、事業承継税制を必要以上に拡充することになってしまいます。それを回避するために、今後は課税方式を『遺産取得課税方式』に改め、相続人ごとの個別計算を行うと言うのです。つまり、前述のような相続税の総額を算出することなく、財産の取得者毎に税率を乗じて納税額を算出する方法です。想像の域を出ませんが、各人別に基礎控除的なものは想定されるものの、少なくとも従来の5,000万円に相続人一人当たり1,000万円の基礎控除という考え方はなくなるでしょう。前述の事業承継税制のために、相続税全体が大きく変わる事になってしまうのです。

5.相続税の総合的見直しを明言!

 従来から相続税の見直しについては議論がなされていました。現在は相続税の申告が必要な方の数は、亡くなった方100人に対し僅か4人だけとなっています。課税の裾野を広げることは長年の懸案なのです。今回は前述の株式の減額とセットで、『相続税の総合的見直しを検討する』と、大綱の中で明言されているのです。これにより、今まで課税対象から外れていた方が、相続税を課税される事になるのは間違いありません。これ程重大なことが、一般の新聞紙上では全く触れられていないのです。平成21年度からとは言うものの、資産家ならずとも相続税が課税されることに!
 衆参両院でのねじれ状態でどの様な改正がなされるのか、今後、その動向が大いに注目されます。


 

執筆者:阿藤 芳明

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