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ATO通信


5197号 問題山積の相続税改正

平成20年10月31日 税理士法人 エー・ティー・オー財産相談室
 昨年、つまり平成19年の12月に公表の税制改正大綱で、21年から相続税の計算方法が改正されることが明記されました。本稿の読者の皆さんへは、勿論既にご報告済みです(5190号)。しかし、当時日経新聞でさえこの重大事を報道していませんでした。が、やっとここへ来て、平成21年度の改正が話題になるにつれ、俄に脚光を浴びるに至った相続税改正です。ただ、実務的には問題山積で、予想を基にその行方を追ってみました。

1. 極々 簡単に復習すると

 詳細は触れませんが、事業承継税制の中で、いわゆる中小企業の後継者の税負担を軽減する議論がかねてからなされていました。その円滑な事業承継に対応すべく、相続税の計算方法を根底から見直すというのが改正の表向きの建前でした。現実論としては、相続税の課税対象者等の拡大を狙った増税策。何しろ従来の相続税の課税の対象となる方の割合は、100人亡くなって僅かに4人と言うのが実状だからです。当事務所ではこの事には瞬時に気付き、既報の通りのご報告を致しました。一般のマスコミではこの大改正自体を全く取り上げず、来年の税制改正のこの時期になって、初めて俎上に上がって来たのです。が、とにかくこの改正、様々な問題が…

2. 従来の相続税の計算方法

 これも詳細は触れませんが、従来の計算方法は、とにもかくにも全財産を把握し、それを法定相続分通りに分けたと仮定して、税額の合計をはじくのです。その総税額を実際の相続割合に応じて各相続人財産を相続した方は、少額の方より当然の事ながら税額は増加するというものです。

3. 従来の計算方法の問題点

 この方法の問題点を幾つか列挙すれば、一つには特例の適用者の影響が他の者にも及ぶことが挙げられます。例えば居住用や事業用の土地については、最大で80%引きの評価の特例があります。仮に長男が相続した土地がこの評価減効果により8割引になった場合、本来は長男だけが減額の恩恵を受ければよいわけです。しかし、全体の財産総額が減少するため、結果的には相続人全員の税額、つまり相続税の総額が減少することになる訳です。
 また、相続税の総額の計算には累進税率が適用されるため、財産総額によっては大幅に税負担が増加する事もあり得ます。従って、同じ1億円の財産を相続した場合でも、財産総額により納税額は異なります。全体の財産が2億円の場合の1億円の土地と、200億円の場合の1億円の土地では、同じ1億円の土地を相続しても納税額は天と地ほど相違が生じることになるのです。

4.相続税の調査はどうなる?

 改正後はまず前述の相続税の総額の計算がなくなります。全体の財産に対する税額計算はしないからです。ただ、相続人毎に税額計算をするとは言うものの、実際の相続税の申告書は従来同様、通常は全員で一つの申告書に署名、捺印する形式に変更はないものと想像しています。贈与税の申告書のように、贈与を受けた人毎の申告書にはならないと予想しているのです。現在の相続税の申告書は、被相続人の住所地の税務署に相続人全員が原則一つに纏めて提出をします。それに対し贈与税は文字通り贈与を受けた人毎です。従来通りの形式を維持しないと、税務署は全体の財産を知るのが困難となり、税務調査もやりにくくなってしまうからです。その税務調査は、いずれにせよ困難を極めることにはなるでしょう。従来は被相続人の配偶者や長男が相続人を代表して調査に立ち会えば良かったのですが、今後は相続人毎となるわけで、全員の立ち会いが求められることに。果たしてそんなことができるのでしょうか。

5.他の相続人に知られずに申告ができる!

 現在の申告書は、何度も言うように財産全体を把握した上で相続税の総額を計算します。従って長男が財産を隠しても、税務調査で見つかればその事実は白日の下に晒され、他の相続人にも影響を与えることになるのです。そして全員で修正申告をすることになる訳です。しかし、今後は長男が財産を隠しても、誰にも知られず修正することが可能です。例えば相続人がA,B,Cの3人とします。被相続人である父親はAに大半の財産を相続させたいと思っていたとしましょう。ただ、表面上は平等原則の遺言を作ります。争いを避けてほぼ均等の相続になるようにしておくためです。恐らく申告書の形式に変更がないものと仮定すれば、一度は3人全員の署名、捺印で申告です。が、実はもう1通の遺言書があり、それには前述の平等原則の遺言書に記載されていない財産がAのために用意されていたらどうでしょう?当初の申告の直後にAは自主的にこの遺言を加えた内容の修正申告をA単独の名義で提出ができるのです。何しろ相続人毎の申告ですから。修正するのはAだけでいいのです。遺言方法にまで影響しそうな改正に、大いに注目が寄せられます。

執筆者:阿藤 芳明

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