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ATO通信


5223号 所得税増税の道筋

平成22年12月27日 税理士法人 エー・ティー・オー財産相談室
 毎年12月の声を聞くと次年度の税制改正の大枠が公表される事になります。昨年は民主党政権になって初めての税制改正でした。間もなく全容が明らかになる来年度の税制改正大綱を前に、本年度の内容を今一度見直す事により、その中で特に来年以降の所得税の行く末に注目して検証してみましょう。題して“所得税増税の道筋”です。

1.現行所得税の問題点

 昨年は発足間もない政権与党たる民主党として、初めての税制改正大綱だったせいもあるでしょう。前段の税制に対する基本姿勢には、かなりの部分を費やして税目ごとにその理念を謳っています。所得税については、現行税制の問題点として、“所得の再分配機能”や“財源調達機能”が低下している旨を指摘しています。要は所得のある人がない人より税金を沢山払う事により、差し引き手取り額を平らにしよう。従って所得のある人が確実に税負担をしてもらえる仕組みを確立しよう、そんな方向性を打ち出したのです。

2.機能低下の原因の一つは所得控除

 上記の機能が低下した原因は二つあるとされています。一つは“所得控除” が高額所得者に有利になっている事だと。これをご理解頂くために、ここで所得税の計算の仕組みを簡単に復習しておきましょう。それ程難しい事ではないので暫しお付き合い下さい。先ずは給与所得、不動産所得、事業所得等々各種の所得金額の算出をします。そしてそれらを合算して合計所得を算出。一般には分離課税である金融機関からの利子や株式の配当は、ここでは考えないで下さい。次に合計所得から所得控除と言われる控除項目を減算します。所得控除とは基礎控除、扶養控除、配偶者控除、医療費控除等々お馴染みのものも多い事でしょう。それらを合計所得から控除した残額に所得税の税率を乗じ、税額を算出する訳です。
 ここで税率が問題となりますが、住民税との合計で考えると、最低の15%から最高50%までの累進税率。実は所得控除を差し引いた後の金額に税率を乗じるところがミソなのです。例えば医療費控除の対象が同じ100万円のケースを税率が最低の人と最高の人とで比較してみましょう。この医療費控除のお陰で15%の人は100万円×15%で15万円、50%の人は同様に50万円ほど税額が少なくなる仕組みです。高額所得者の方が同じ100万円の控除でも恩恵が大きく、金持ちになれば、医療費だって税金を考慮すれば5割引と考える事もできるでしょう。


3.もう一つの原因は分離課税による軽課

 もう一つの原因が先程もちょっと触れた分離課税。これは前述の所得税の計算方法とは別枠での計算になります。つまり、分離課税は例えば現行の預金利子に対し20%、上場会社からの配当では10%が支払いの段階で控除されているはずです。この税率は収入金額の多寡に関係なく一律で、つまりは毎年ナン億円も稼ぐ人でも、低年収の人でも同じ負担割合になっている訳です。となれば、税引き後の手取り金額を平らにしようとする所得税のそもそもの趣旨から、大きく逸脱した税制だと言うのが民主党の理屈なのです。従って、今後はこれらの問題点を修正した税制改正が行われる事に。

4.所得控除をやめて現金給付、税額控除に!

 そこでその対策ですが、まず、所得控除を極力なくすこと。ただ単純に所得控除をなくせば、税額が直接アップするため、これに代わる何らかの手立てを考えなければなりません。それが例えば現金給付の子供手当てです。所得金額と無関係に一律幾らの給付なら、所得控除の弊害はなくなり、金持ち優遇ではなくなります。
 もう一つは税額控除という考え方。これは累進税率の税率を乗じて税額を算出した後、その税額から定額や一定の方法で計算した金額を控除しようとするものです。この方法でも所得控除の弊害はなくなり、金持ち優遇からの脱却が可能になるのです。

5.最終ゴールは国民総背番号制の導入!

 さて、もう一つの分離課税を廃止し総ての所得を総合課税する道は、実はなかなか険しいのです。何故ならそれをするためには、税務署は各人の総ての所得を完全に捕捉し、課税の公平を維持しなければならないからです。勿論、現状でも税務調査がなされ、申告額が適正かどうかのチェックはなされています。しかし、申告された総ての納税者について調査ができるはずもなく、実態は極く極く一部だけの調査に留まっています。
 それでは各人の預金の利息や配当総てについて税務署がくまなく捕捉できるためには何が必要か?道は一つ。納税者一人ひとりに背番号を付し、社会保険の加入はもとより、現行での預金取引、証券会社での売買、総てをその番号によって把握、管理する方法です。これが準備されるまでには今しばらく時間はかかることでしょう。が、しかし、資産家大増税の足音がもうそこまで響いてきていると言うのは偽らざる事実なのです。        

執筆者:阿藤 芳明

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