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ATO通信 5298号

退職金の使い方

    (2017年3月31日更新)   執筆者:阿藤 芳明

  退職金の使い方  "退職金の使い方"とは言っても、資金の運用や活用方法ではありません。身内だけで会社の意思決定ができる同族会社のような場合(以下、単に同族会社と言う)には、退職金は法人税や相続税の節税対策に、絶大な効果を発揮するのです。そこで今回は、それらの節税対策のために退職金をどう利用するかについて考えてみました。
 

 
   

1.法人税法上の制約

 まず、ここでの退職金は同族会社の役員に限定します。従業員と言う身分では、多額な退職金の支給が見込めないからです。税法の規定では原則的には退職金は法人の経費になります。但し、過大と認定された部分の退職金は、経費とならないことになっています。実はこれが非常に難しいのですが、教科書的な適正額は次のとおりです。
 最終月額報酬×役員の在籍年数×功績倍率
 種々の条件によっても異なりますが、一般的には功績倍率は2.0~3.0程度でしょうか。創業社長や特別な功績があれば、この限りではありません。但し、実務ではそれ以前に絶対額がモノを言います。以前にもお話しましたが、都心は田舎に比べてかなり高額でも目立たないため、認められることも多いのです。場所によるのが実状です。


2.死亡退職金と言う使い方

 被相続人の死亡に伴う退職金については、相続税の対象にはなりますが、非課税枠が用意されています。500万円×相続人の数で、相続人が4人いれば2,000万円もの非課税枠となる訳です。相続に際し、同族会社の役員であればこれを利用しない手はありません。
 ただ、問題は月額報酬です。生前に高額な役員報酬を支払っていれば、それがそのまま現預金の形で相続財産を形成してしまいます。さりとてある程度の金額を支給しなければ、上記の算式で計算した際に、期待できるような金額の退職金になりません。従って、早目に役員報酬を支払い始め、役員の在籍年数を長期にすることが得策です。場合によっては当初は少額に留め、漸増させる方法も効果的でしょう。


3.相続税の納税資金にも

 死亡退職金の場合、それを受給するのは相続人です。つまり、相続人はその受給した退職金を、相続税の納税資金に充当できると言う事になるのです。もし、納税資金が足りず、延納や銀行からの借り入れで賄った場合、その利息は何の経費にもなりません。しかし、同族会社に潤沢な資金があれば、その資金で充当できますし、潤沢でない場合でも、会社が退職金支給目的で借り入れをすれば、その利息は会社の経費です。つまり、本来は相続人が個人的に負担すべき納税資金を、会社に転嫁できると言う事なのです。


4.生前の退職金もこんなに有利!

 生前に退職金を支払う事もあるでしょう。この場合、受給した退職金はその方の退職所得となります。勿論所得税の対象となるのですが、これが通常の所得と較べ、格段に税負担が少なくて済むのです。その計算方法ですが、まずは勤続年数による控除額を控除します。20年以下の場合は1年当たり40万円ですが、最低でも80万円は控除できる仕組みです。また、20年を超える部分については1年当たり70万円。従って、30年勤続の場合には、70万円×(30-20)+40万円×20で何と1,500万円も控除できることになります。更に実際に課税される金額は、役員の在籍年数が5年超ならこの控除額控除後の金額の1/2。30年勤続2,000万円の退職金なら、控除後は500万円でこの1/2の250万円にしか課税されません。しかもこれは分離課税のため、他の所得と合算されることもなく、課税される退職所得の金額に税率を乗じればいいのです。従って、例えば自宅の建て替え等の具体的な資金の活用方法が決まっているならば、生前の退職で低い税負担で現金化。それを基に相続税法上非常に有利な評価となる建物にすれば、3,000万円の現金が1,000~1,200万円程度に変身です。


5.生前退職の注意点

 但し、生前の退職金支給に当たっては、退職に伴う実態が必要です。"退職したことにして"実際には経営に関与していれば、退職金の支給は経費とは認められません。退職後、単にそれまでの役員報酬を若干引き下げたり、相変わらず大株主として経営を差配できる立場にあったり、非常勤となったりするだけでは、真実の退職とは認められません。役員としての地位又は職務の内容が激変し、実態が伴わなければならないのです。取締役を退任して、形式的にだけ監査役になったりするのも同様です。また、分掌変更等に伴い役員報酬が激減する場合も、激減と言うからには概ね従来の報酬の50%以上の減額は必要でしょう。  このような注意は必要ですが、退職金の支払いは会社に多額の経費を生じさせることにもつながります。保険金の満期時の大きな利益が生じる場合にこの退職金支給を合わせたり、株価を一気に引き下げ、その時点での株式贈与に活用したり、魅力満載の退職金を検討することは有用です。
 
 
     
 

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