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TOPATO通信連年贈与の注意点を押さえよう 5405号

ATO通信

5405号

2026年2月27日

高木 康裕

連年贈与の注意点を押さえよう

 年が明けるとまもなく所得税の確定申告時期を迎えます。贈与税に関してもその申告は同時期であり、申告期限は所得税と同じ3月15日です。年始は贈与税の申告準備も必要になってきます。ところで、贈与を定期的に毎年行っているような、いわゆる連年贈与の場合には通常とは違って注意が必要では?と考える方もおられるようです。

1. 連年贈与とは

 毎年、毎年、継続して行っている贈与のことを一般的には連年贈与といいます。お客様とお話をしていると、連年贈与は税務的に問題にならないのか?という話をときどき耳にします。結論から申し上げれば、連年贈与自体が問題になるということはありません。それでは、他に注意すべきポイントがあるのでしょうか。
 贈与は、財産を無償で与える意思を表示して、もらう側がこれを受諾することで効力が生じる契約です。つまり、贈与ごとにこの行為が生じていることが前提であり、ここがポイントです。
 したがって、毎年、毎年、継続して贈与を行っているというのであれば、その都度ごとの合意に基づく契約があるはずです。そうであるならば、毎年の贈与はそれぞれ個別の行為であり、通常通り贈与税の計算と申告をすればよいわけです。このことは当然のことであり、何ら問題が生じることはありません。また、数年間連続して贈与を行っているからといって、数年分の贈与を合算して課税するような仕組みもありません。

2. 定期贈与(給付)には注意

 連年贈与と似たようなものに定期贈与とよばれているものがあります。定期贈与とは、定期金の給付として行う贈与のことをいいます。たとえば、毎年100万円を10年間にわたって渡すからね、という約束をしてこれに基づいて行う贈与のことです。
 この場合には、毎年の贈与はその都度ごとの贈与行為ではなくなります。あらかじめ定めた取り決めに基づいて、10年間にわたって分割支給しているに過ぎないからです。そのため、総額の1000万円が分割贈与の約束をした年度において贈与税の課税対象になるという具合です。110万円の基礎控除の範囲内による贈与のつもりであったのに、思いがけずに総額に対して贈与税の計算がされることになってしまいます。
 この定期金の給付としての贈与の考え方があることから、連年贈与は問題にならないのか?という話がでてくるわけです。

3. 個別の贈与

 それでは、定期贈与と見られないように個別の贈与としてしっかりしておくにはどのようにすればよいのでしょう。この点、実は難しく考える必要はありません。ポイントは1で述べたとおりです。
 つまり、連年の贈与であったとしても、各年の贈与はそれぞれ個別の贈与契約だと説明できればよいわけです。
 毎年の贈与ごとに、あげましょう、もらいましょう、という合意を個別に行って贈与契約書を作成しておきます。また、現金であれば振込みをするなどで贈与の履行を明確にしておきましょう。当然ですが、110万円を超えるような贈与ならば贈与税の申告を行います。このように、まずは形式的な部分をしっかりと整えておきます。
 なお、贈与税で問題とならないようにするためには、毎年の贈与日は変えたほうが良いのでは?毎年の贈与金額は変えた方が良いのでは?などといった考えが一部にあるようですが、そのようなことをする必要は特にないでしょう。本筋論からすれば些細なことだからです。
 たとえば、私は毎年の記念日である特定日に、一年間の感謝とお祝いを兼ねて、区切りとしてその都度同額の贈与を行っているというような場合に、日付と金額が一緒だからといって何が問題になるのでしょうか。
 見極めのポイント、それはくどい様ですがその都度ごとの贈与である、これが言えれば良いのです。

4. 結局は説明の仕方次第

 いくら形式部分を整えたとしても、最終的には税務署に対して上手に説明できるかどうかです。
 たとえば、10年計画で1000万円を贈与する場合、「100万円の贈与を、10年間行って1000万円にする」というのと、「1000万円の贈与を、100万円ずつ10年間で行う」というのではニュアンスが異なります。後者の場合、捉え方次第では定期贈与の恐れがあるかもしれません。
 暦年贈与では毎年110万円の非課税枠があります。定期贈与と疑念を持たれないようにしましょう。

5. 教育資金一括贈与は令和8年3月まで

 令和8年度の税制改正大綱によると、教育資金一括贈与の1500万円の非課税措置は令和8年3月31日の適用期限をもって終了します。これからは、数年間分の教育費の一括贈与について非課税枠は無くなりますが、その都度ごとに行う教育資金贈与はそもそも非課税扱いです。
 連年贈与も教育資金贈与も上手に賢く行いましょう。

※執筆時点の法令に基づいております