お役立ち情報
COLUMN
原則として月に一度、
代表 高木康裕が自身で執筆しております。
お客様の立場に立って、
新たな税務の情報や事例をご紹介。
辛口で税務の現場のナマの姿をお伝えして参ります!
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5101号
駐車場、ちょっとの工夫で泣き笑い
数ある土地活用の内、最もシンプルなのは駐車場でしょうか?そうは言ってもこの駐車場ちょっとした工夫で節税できたり課税だったり。建物との組み合わせによっても課税関係は様々です。そこで今回のテーマは、土地税制における車両保管業の経済効率と税効果。ナーニ、早い話、駐車場の節税策の話です。
1.アパートと駐車場図イをご覧下さい。アパートに隣接して駐車場があるケース。もしこの駐車場がアパート居住者だけのものなら、相続税評価は土地全体が貸家建付地と言って、更地の7~8割にまで下がります。駐車場は基本的には更地評価。それがアパートと一体の評価なら儲けもの。空きが出たからと言って、外部の人に貸したら更地です。目先の利益を追うべからず。
2.固定資産税も一工夫面白いのは固定資産税です。上記の場合、駐車場がアパート居住者だけで、しかも土地の筆が全体で一筆ならどうでしょう?一体利用となり敷地全体が小規模住宅用地の特例で1/6に。アパートと駐車場が別の筆なら原則駐車場は6倍です。こういう場合はとにかく合筆が得策です。合筆は絶対条件ではないものの、一体利用の説明は容易になります。注目すべきは、相続税の場合、筆は全く関係なく利用単位ごとに評価。これに対し固資税は原則的に筆ごとの評価です。さて、駐車場全20台の内、1台だけが外部の人間の場合は?お話合の世界で、交渉力と演技力と押しの強さで決まります。
3.整然とした駐車場の区分けでは応用問題です。図ロのケースで、駐車場のAはアパート専用、Bは外部の場合です。フェンスでしっかり仕切があれば文句無し。相続税も固定資産税も有利な評価で節税が可能です。AとBを線引きの色で分けた程度、進入路も共用部分もある場合には問題です。過去の貸付状況、利用実態にもよりますが、できれば誤解の無いよう判然とした仕切がベストです。
4.駐車場ごと同族会社に賃貸したら?話は変わって、駐車場ごと自分の同族会社に賃貸し、個人はその会社から地代だけを受け取る事は可能でしょうか? 仮に周辺の地代水準が固定資産税の3倍としましょう。同族会社は3倍の地代を支払うことにより、実質的には個人所有の駐車場収入を得られ、役員報酬を通じて所得の分散が謀れるのです。親の土地を子が適正な地代で借り、駐車場にしてみても、個人の所得税の世界では通用しません。土地所有者である親の収入になるだけです。個人間でなく法人を通せば済むのか、非常~に問題です。
5.管理型法人は否認、が時代の趨勢上記の問題に対し、当局は否定的な見解です。これは何も駐車場だけの問題ではなく、いわゆる同族法人の管理会社形式(個人の建物を同族法人が管理の名目で収入を得、その管理料を個人の経費とする節税策)全般を昨今、当局は否認しているのです。いわゆる同族会社の行為計算の否認と言われるもので、当局の最も嫌う節税策だからです。
税務当局、形式だけでは駄目で実態、中身を重視です。とりわけ不労所得が嫌いで、逆に額に汗が大好きなのです。汗出さず、知恵を出すのも重要ですよネ!2000年10月30日
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5100号
今が旬、相続税調査
季節はすっかり秋色です。そう、秋は税務調査の最盛期。と言う訳で、今回は資産税、特に今が旬の相続税調査のお話です。
1.譲渡税から相続税資産税について言えば、概ね7月一杯で譲渡税の調査が終わると、今度は相続税調査の開始です。今頃の季節になると、弊社も税務署から何件もの相続調査の連絡が入ります。不思議なもので、調査が何件も入る当たり年と、ほとんどお咎めのない年とがあるようです。残念ながら今年は大当たりで、予定を含めて既に数件、調査のオンパレードです。相続税は昨年の7月から今年の6月位までに申告をした方が、今この季節に調査を受ける対象となる方です。また、今年の3月に譲渡所得の確定申告をした方は、既に譲渡税の調査は終了です。つまり、今の時点で譲渡についてのお問い合わせが何も無い方は、無事、昨年分の申告内容が認められた事に。誠におめでとうございます。
2.時間が経てばバレない?調査に選定される、典型的な例をご紹介しましょう。数年前、いや、10年前でも宜しいでしょう。多額の土地の売却収入があった、収用保償で億単位のお金が入金された。勿論その時点で適正な申告はしているはずです。問題はその時のお金が相続時にどんな形で残っているのか。 つまり、そのお金で土地を買った、国債に化けた、定期預金に預けた。それが財産として説明できる状態で相続税の申告書に記載されていればよいのです。が、往々にして申告漏れになるケースが多いのです。特に土地の売却時点等で無記名債などを買った場合に、まま見受けられるようで。時間が経てばバレない!そんな納税者意識が働くのでしょうか?結論から言えば、この手の方は、税務署の罠にマンマとはまったことになるのです。何故なら、税務署と言うところ、相続の申告書をチェックする際、過去の譲渡関係の申告は隈無く見直しです。そして、前述の財産形成に疑問があれば、つまり、少な過ぎると判断されれば調査に選定となる仕組みなのです。10年前でも油断は禁物。
3.相続税の落とし穴他に、一般の方が陥りやすい相続税の落とし穴について、お話しましょう。まず、被相続人になる方がいよいよ危ない!そんな時、多くの方は葬式費用等に備え、ある程度まとまった金額を引き出します。銀行に死亡したことが解ると、分割協議が整うまでは預金が下ろせなくなるためです。それは良しとして、問題は引き出した後の残高しか計上しないことです。確かに預金残は無くても、それは現金として相続財産に計上すべき代物です。調査があれば、直前の引き出しは必須チェック項目と考えておきましょう。もう一つは、相続の始まる3年以内に行われた贈与です。贈与税の申告書が出ていれば税理士も気づきます。が、申告をしていなかったり、基礎控除の60万円以下の贈与の場合は、つい見逃しがちに。相続財産として計上すべきなのです。その上で、贈与税が納税されていれば相続税額から控除ができる仕組みです。いずれにしても、12月の上旬まで、相続税の調査はまだまだ続きます。譲渡税も相続税も基本的には年ごとに選定、実地の調査の繰り返しです。何年も前の申告を、忘れた頃に調査と言うことは通常はありません。 時間よ早く経ってくれ!そう言うあなたを、税務署は密かに狙っているのです。明日にでも、あなたに税務署から調査の電話が……弊社がお手伝いします!
2000年9月29日
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5099号
財産評価通達の見直しを!
平成12年分の路線価が今年も公表されました。8年連続の下落で、率にして全国平均でほぼ前年並みの7.0%の下落。東京都は5.8%とは言うものの、都心についてはほぼ下げ止まりの様相です
興味深いのは物納で、依然としてその申請件数は高水準。路線価評価が適正でないのか、はたまた物納に特有な状況でもあったのか、物納をめぐる実態を探ってみました。
1.高止りの物納申請件数と未処理件数相続税の納税において、現金納付も延納でも納税できないときに限って認められる物納制度。かつてはマイナーだったこの制度も、路線価が実勢価格を上回る92、93年頃から急増し、今ではメインの納税方法に。
逆転現象はかなり解消されたかに見える昨今、それでも98年7,076件、99年7,075件と物納申請も依然かなりの高水準を維持しています。しかも収納後の在庫の処分が進まず、更地換算で99年度は92年度の22倍もの面積の土地が未処理のままなのだそうです。これは一体何を意味するものなのでしょう?
2.売却よりも物納が有利一般論としては、未だに路線価が実勢価格より高いとみるべきなのでしょうが、そればかりではなさそうです。勿論、その手の物件もあるのでしょう。が、大蔵省によれば、もともと買い手のつかない物件が物納されるケースも多いためとか。 言うまでもなく、物納の収納価格、つまり引き取り価格は申告書に記載した価額です。となれば、いくらで売れるのかを判断し、それが申告書に記載した金額を上回るなら売却、下回るなら物納と言うことにならざるを得ません。 現実問題として、総ての土地が道路付け、地形、日照や騒音問題等につき、何の問題がない訳ではありません。様々な悪条件が重なり、売るに売れない物件が世間には多いのも事実です。
3.財産評価基本通達の評価法相続税の申告をする際、原則的には路線価を基に財産評価通達という、評価方法の指針によって計算をすることになります。この通達は、税務署の職員が実際の評価を行うに当たっての、いわば社内規定のようなもの。土地については、間口、奥行き、地形等を考慮して具体的な評価方法を定めているのです。
4.物納はとにかく有り難い!さて、この評価通達、必ずしも実勢価格を反映するものではありません。極端な場合、建物の建築に制限が加わる(建築不能なら物納も不可)にも関わらず、評価がそれ程落ちないこともあるのです。勿論、不動産実務の世界では、こんな場合の価格は二束三文。間違いなく物納が有利になるのです。 と言うより、収納した土地の売却処分が進まないのも、この手の土地が多いため。物納は とにかく難しいものと考えがちです。が、既定の要件さえ満たせば、不動産的な見地から見て収益性が悪かろうが、不人気物件だろうが、収納せざるを得ないのです。駅から遠いから取らない、日当たりが悪いから3割引、これができないのです。納税者にとっては何とも有り難い制度ではあります。
5.根本的な解決策は?物納の申請が多い理由は明白です。評価通達による評価の基準が適正でないだけです。むしろ問題は、未処理物件が多いことで、いわば不良債権化していることです。売れない、処分できない物件を国が抱える。このツケは結局国民の負担になるのですから。
先ずは財産評価の根本的な見直しです。今の状況、歌舞伎町でビール1本飲んで3万円の請求されるみたいなもの。税理士会、鑑定業界、責任重大ですぞ!2000年8月29日
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5098号
株式評価の通達改正 大会社にしてこそ効果あり
未上場のいわゆる一般中小企業の株価評価について、次頁の改正がなされました。
日頃、面倒な税務の話を少しでも解り易くと心がけてはおりますが、今回ばかりはご勘弁下さい。解り難いことを解り難くお話します。
1.株式の評価方法上場株式についての株価の評価は簡単です。毎日の新聞を見れば一目瞭然。未上場株式については、原則的には①純資産価額方式②類似業種比準価額方式の二つがあります。
簡単に言えば、①は財産額から借金を差引いた残額で評価し、②は評価しようとする会社の一株当たりの利益、配当、純資産(類似の3要素と言う)を同業の上場企業と比較して求めようとするものです。①においては、昔から保有する土地が低い価額(当時の取得価額)で帳簿に計上されていても、株価計算に際しては現在の高い価額(時価)が反映されてしまいます。②の方法ではそのような含み益が株価に反映する事がないため、一般論としては①より②の方が評価上低く、有利だとされているのです。
2.改正内容とその影響改正点の明細については次頁をご覧下さい。一つは、上記②について類似の3要素を従来は3等分していたものを、利益重視(利益を3/5)としています。
また、②を適用するに当たり、会社の区分も変更しています。評価方法を決めるに当たっては、会社を大中小の3区分としています。その上で大会社は②で、小会社は①で、中会社は両者の折衷方式で評価します。上述の通り一般論として②を選択したくても、大会社にするにはそれなりの条件が必要なのです。中でも恣意的に操作できない条件が従業員数ですが、若干緩和されました。
さて、②を適用し易くした今回の改正ですが、利益重視のため、利益を出し過ぎると増税になってしまうので注意が必要です。
3.土地を法人に移したら今回の改正を機に、個人所有の土地を法人に移行し、個人の財産としては株式(出資持分)を所有することにしたらどうなるでしょう?法人への移行方法は、売却か贈与(寄付)しかありません。贈与というわけにもいかないので売却すれば(現物出資も同じ)、その時点で26%の譲渡税の課税です。それを覚悟の上で仮に時価100億円、路線価80億円の土地を法人に移行した場合、株価評価と相続税を試算してみました。理論的なうるさいことを言うと、土地保有特定会社の問題、土地の3年以内取得の問題、相続税の適用税率等々あります。が、ここは大胆に無視して試算の結果、会社規模が中の小と仮定して、個人で土地を持っていた場合より税額として約23億円節税が可能です。ただ、一方で法人への土地移行時の譲渡税額が約25億円のため、節税額とほぼ見合い。
何のことはない、実質的な効果はあまりないことに。少なくとも今回の改正が奏功したとは言い難い状況です。
4.大会社にしてこそ効果有り100%類似が適用できれば状況は一変します。大会社になれば良いのです。
しかし、次頁をご覧頂くとお解りの通り、従業員が少数の場合、あとは売り上げを伸ばす以外方法がありません。仮にめでたく大会社になったとして、前述と同じ節税の計算をしてみると、今度は35億円(土地で80億が株式で29.4億)程確実に相続税は軽減できる事となります。但し、登記費用、取得税等の負担もあります。
結論から言えば、土地を個人保有から法人保有へ移行して相続税を節税しようとすれば、大手術が必要だと言うことができるのです。これは地主さんだけの問題ではありません。いわゆる事業承継対策として、中小企業の株価を引き下げる場合も全く同じです。
大会社にすればよいのだと分かってはいても、実はそれが非常に難しいのです。かつては資本金が1億以上であれば直ちに大会社になれたのです。が、今は次頁の通り不動産賃貸業なら①従業員数が100人以上②総資産価額(帳簿価額による)が10億円以上で従業員数が50人超③直前期の取引金額が20億円以上の3つの場合です。
この区分、数年前から現行の形になっているのですが、その権威も地に落ちた大蔵省とは言え流石。節税は非常に難しいのです。超優秀なエリートのお考えだけあり、我々から見ても芸術的と言えるほど見事なもの。まだまだ侮れません。
内容が専門的なため、文中の数字の算出根拠を割愛しております。興味のある方はお問い合わせ下さい。資料を差し上げます。
非上場株式の評価方法の変更
〔1〕中・小会社の区分基準を見直し(1)総資産価額基準の見直し
〔2〕類似業種比準価額の計算式を改訂
〔3〕“2要素ゼロでも”類似業種比準方式を適用可類似業種 ・・・1株当たりの純資産価額(相続比準価額 ×0.25 +税評価額によって計算した金額)× (1-0.25)
今までは、「1株当たりの配当金額」、「1株当たりの利益金額」、「1株当たりの純資産価額(簿価ベース)」のうち、いずれか2つが3期(純資産価額は2期)連続ゼロのいわゆる“2要素ゼロ”の会社の株式については、純資産価額方式で評価することとされていました。
しかし、今回の改正により、“2要素ゼロ”の会社の株式についても、純資産価額方式だけでなく、納税者の選択により類似業種比準方式が適用できることとされました。(改正評価通189,189-2)。ただし、Lの割合は0.25とされます。
なお、3要素がゼロの会社については、従来通り純資産価額方式のみの適用となります。2000年7月28日
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5097号
立場によって地代も色々です
土地を借りたら地代を払う、これ、当たり前の話ではあります。問題はいくら払えば適正なのか、税務上どのような問題があるのか、簡単なようで結構複雑です。
1.親子なら、ただでもOK!親の土地に子が家を建てました。さて地代は?よく頂くご質問ですが、ただで結構です。お支払いになるのは勝手ですが、地代を払わなくても贈与税の課税はありません。親の土地を子が無料で使用するなど、考えてみれば至って自然な話。税法もそこまでうるさいことは言わないのです。但し、贈与税の課税が無い代わり、子に借地権は生じません。つまり、相続税法上は親の土地は更地扱いの評価になってしまいます。
2.法人が絡むと途端に面倒です法人が地主でも、逆に借地人でも、法人が関係者になると、事はいささか面倒です。税務上、法人は利益を追求するための組織、純経済人と位置づけられています。従って、本来支払うべき、又は受け取るべき地代を支払わなかったり、受け取らなかったりする場合には、課税関係が生じます。基本的に法人にボランティアは認められません。損をしてはならず、得をすれば課税です。ご自分の会社だからと言って、ただで土地を貸すわけにはいかないのです。
詳しいお話はしませんが、借地権に係る権利金の認定課税と言って、地代以上に面倒な事に発展してしまいます。法人が絡む場合はゆめゆめ注意をお忘れなく。
3.底地物納で国が地主になった場合借地人のいる土地、つまり底地は財産の内でも使い勝手の悪いもの。相続時には物納財産の最右翼です。 物納財産を収納する国としても、底地は管理も簡便で収納し易いのですが、問題となるのは地代の金額です。実際の収納実務を担当する財務局には底地の収納に際し、基準となる地代の規定が設けられています。基準貸付料や近隣地代相場の70%が一応の目安とか。この基準貸付料は路線価に基づいて算出され、住宅地では1.3%、非住宅地では1.85%と言われています。
地代が安過ぎる場合、引き上げを要求されますが、それができないために物納却下の事態にも。この手のケース、結構多いのです。将来、底地を物納にとお考えの場合には、適正水準まで地代を引き上げておくことが必須条件。仏心でいつまでも安い地代は禁物です。
4.国が借地人になった場合の変貌!さて、問題は立場が逆転し、物納で国が借地人になった場合です。彼らは信じられないことをおっしゃるのです。まず、国が借地人になるとはどう言う場合なのでしょうか?借地権は物納ができません。しかし、相続財産が総て借地権だけである場合、物納を認めないわけにはいかないのが実状。以前、“ATO通信”でもご紹介しましたが、このような場合には建物を物納し、借地権込みの価額で引き取って頂くのです。非常に希なケースですが、結論から言えば借地権もその意味では物納が可能です。 ただ、国側は相当これを嫌がりました。最大の理由は建物が古かったため、空室になると地代は払う、室料は取れない、で困ると言うものです。様々な理屈を付けて物納を拒否しようとしましたが、こちらも借地権しか財産が無いので必死です。一度は物納を認めると言っておきながら、最後にこんな切り札を出してきたのです。『地代が高過ぎるからもっと安くするよう地主に交渉して下さい』と。この条件が整えば物納を認めるというのです。一体、どこに地代の引き下げに応じる地主など存在するでしょうか?真実法外な地代を払っているのならともかく、これは国のイジメです。底地を収納する時、地代が安過ぎるから値上げをしろと言っておきながら、自分が地代を払う場合には、値下げしろとは、開いた口が塞がりませんでした。でも、これって実話なのです。最後はこれを撤回させましたが、大蔵省ってこんな事まで言うのが実態。あれからです。筆者が人間不信、いや、税務署不信になったのは。
2000年6月28日
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5095号
個人の株式譲渡益課税はどうなる?
筆者は一度約束したことを変更するのは、性格上大嫌いです。とは言っても変更やむ無しは世の常で、妥当性の問題でしょうか?
株式の源泉分離課税廃止延期の話です。
1.現状の課税方法上場株式の売却益については、現行2通りの課税方法があります。一つは申告分離課税と言われるもの。1年間の株式の売却損益を通算し、その売却益に対し26%(所得税、住民税合計)の特別税率で、他の所得とは通算せず、別計算です。 もう一つは源泉分離課税で、損得に関係なく一律売却額の1.05%の課税で完結です。 これらは取引の都度その方法を選択できるため、儲けた時は源泉分離、損した時は申告分離で節税をはかる方が多いようです。
2.源泉分離は風前の灯火さて、この源泉分離、実は平成13年3月いっぱいで廃止の予定です。が、ここへ来て期限を延長しようと言う声があり、大蔵省を困らせています。源泉分離を認める替わりに課税していた有価証券取引税を既に廃止しており、延長には絶対反対の構えなのです。 選挙が近くなればこの手の人気取り(廃止延期)が出てくるのは毎度のこと。ただ、源泉分離の廃止問題は、有取税の税率軽減や廃止に至る経緯とも深く絡む問題で、本来法律論でとっくに解決済みのはず。第三者的には何を今更、の感は否めません。
3.期限延長派の論拠源泉分離の廃止を反対する人の税務上の論拠は二つです。一つは何と言っても儲かった時の税金が安いから。もう一つは、相続等元々の取得価額が不明で、処分した時に税金がかかり過ぎると言うものです。この手の取得価額が不明な株式については、税務上売却価格の5%相当額は認められています。逆に言えば差引きの95%の利益に対し26%もの税金を覚悟しなければならず、容易には賛成できないのかもしれません。
4.クロス売買取引による価額付替えさて、取得価額を上記の5%でなく、もっと現在の時価に近いものにできる方法があります。一般にクロス取引と言われているもので、売った同じ銘柄の株式を直ぐに買い戻す方法です。この方法によれば売却時に勿論課税がなされます。しかし、今ならまだ1.05%の源泉分離課税が使えます。この税金さえ覚悟すれば、直後に同じ銘柄を買い戻し、実質的には取得価額が現在の時価まで引き上げられるのです。
5.クロス売買取引の是非このクロス売買、実質的な保有状況は何も変わらないのに税務署は認めてくれるのでしょうか? 結論だけを言えば、市場を通して正規のルートで売買すれば何の問題もありません。日本証券業協会からの照会に対し、時間内の売買であれば同日でもOKである旨、当局は文書で回答をしております。
6.税務の方向現実問題として、申告分離課税一本になれば、総ての株式売買が税務署の知るところ。それが心配という方もいらっしゃるようです。ただ、全体的な方向は総合課税化と、もう一つ、納税者総背番号制で、いずれ総ての取引は白日の下に晒される運命です。税務調査もコンピューターの活用で様々な取引資料を背番号で入力し、申告内容と合致しない物を自動的に出力する時代が来るのでしょう。
そう言えば、筆者が10数年前まだ税務調査を担当していた頃は、ゴミ箱を漁っては原始資料なる脱税の証拠となるメモ書きを探しました。ラブホテルでシーツの納入業者を反面調査し、使用枚数を確認もしました。時代は確実に変化しております。
2000年4月26日