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  2019年5月
   

昭和の原風景 その2

     

 
   昨月は、昭和のはじめ、震災復興とともに、渋谷、新宿、池袋など主に山手線の駅をターミナルとする私鉄が敷かれ、その沿線に住宅地が形づくられ、中産階級上層というべき給与生活者の市民層が形成され、独自の文化、教養、倫理観などを持つようになったことを書いた。

 そうした東京の風景を描いた歌謡曲の歌詞を以下に紹介する。

1.花咲き花散る宵も 銀座の柳の下で 待つは君ひとり 君ひとり 逢えば行く ティールーム
  楽し都 恋の都 夢の楽園(パラダイス)よ 花の東京
2.うつつに夢見る君の 神田は想い出の街 いまもこの胸に この胸に ニコライの 鐘も鳴る
  楽し都 恋の都 夢の楽園よ 花の東京
3.明けても暮れてもうたう ジャズの浅草行けば 恋の踊り子の 踊り子の 黒子さえ 忘られぬ
  楽し都 恋の都 夢の楽園よ 花の東京
4.夜更けにひと時寄せて なまめく新宿駅の あの娘はダンサーか ダンサーか 気にかかる
  あの指輪 楽し都 恋の都 夢の楽園よ 花の東京
5.花咲く都に住んで 変わらぬ誓ひを交わす 変わる東京の 屋根の下 咲く花も 赤い薔薇
  楽し都 恋の都 夢の楽園よ 花の東京
~門田ゆたか作詞 古賀政男作曲 「東京ラプソディ」 歌 藤山一郎~

 ところが、一方にこの「楽し都」を苦々しく思う人々もいた。

 以下は、のちに5・15事件を起こして犬養首相を暗殺した、三上卓が作詞した「青年日本の歌」の二番と三番である。
二.権門上に傲れども 国を憂ふる誠なし 財閥富を誇れども 社稷を思ふ心なし
三.ああ人栄え国亡ぶ 盲たる民世に踊る 治乱興亡夢に似て 世は一局の碁なりけり

 三上の目には、「楽し都」を謳歌する市民たちの姿は、「盲たる民」にしか見えなかった。

 それは何故か。一言でいえば、「変わる東京」は、「変わらぬ農村」を置いて発展していったからである。農村側からは、大都会東京のモダンな姿は、農村の富を収奪した結果にしか思えなかった。

fig1
 たとえば、カフェのダンサーは、多くは農村から何かの事情で都会に出てきた娘たちであった。

 彼女たちは、食べるために都会の紳士たちと「援助交際」をすることもしばしばあった。風俗はモダンにかわっても、それは封建的な枠組みで娘を遊郭に売ってきた、江戸時代以来の長い農村の歴史の延長にしか見えなかっただろう。

 つまり、その頃、ものごとは二重の様相を呈していた。都会の先端では、たしかにモダンでリベラルな新しい市民文化と価値観が生まれつつあった。それは、戦後のデモクラシーにもつながる重要な変化であった。が、新しく生まれつつある都会の市民文化の陰では、うわべの風俗だけはモダンでも、農村の大地主制と封建的な価値観がそのまま息づいていたのである。

 昭和初期の不況は、その農村を直撃した。その農村を救済しなければならない、というのが血盟団などの右翼テロリスト、5.15事件、2.26事件の陸海軍将校たちの主張であった。

 昭和の原風景は「楽し都」と「盲たる民」のせめぎあいの間にあったのである。


 ※1.2.3.4.5.は門田ゆたか氏作詞「東京ラプソディ」、二.三.は三上卓氏作詞「青年日本の歌」より引用
 
     
 

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