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  2020年5月
   

監視社会

     

 
   今月のお話は、先ず、先回のマイナンバー制度、マイナンバーカードが何故市民に嫌われたか、というところから始まる。昭和の終わり頃にも、当時の大蔵省が名付けた「日本版グリーンカード」という、納税者番号制度、納税者カードの構想があった。当時は、現在ほどコンピュータネットワークが発達していない時代であったから、源泉徴収されない金持ち層の収入を、税務署が的確に把握するのは至難の業。そのときに、自分の所得を正確に把握されたくない人々が言い立てたのが、「そんな制度を作れば、日本は監視社会になってしまう」ということであった。金持ち層に「監視社会」などと言って脅されると、源泉徴収されているサラリーマン層もそんなものかと納得してしまい、構想を潰す方に加担したのである。戦前社会のトラウマからか、日本人は、オカミに自分が何をしているかを知られるのを、人一倍恐れるという性格を持っていると言うべきかもしれない。

 話題は所得税から、その「監視社会」に移る。現在の日本が、先進国の中では、未だ世界有数の現金社会である理由は、市民一般が自分の消費に「足」がつくことを本能的に忌避しているからと思われる。要すれば、自分以外の誰かに、自分の支出の内訳を知られたくないのである。中には「カードだと後払いなので思わずお金を使いすぎてしまうから現金がよい」、という人も未だいるかもしれないが、そういう人のためには、預金即時払いのデビットカードなどという便利な仕組みもあって、これと連携すれば、スマホのアプリで自分の家計簿すら自動的につけてくれるようになった。

 だが、便利なキャッシュレス社会になってかえって不気味なのは、たとえばamazonで買い物をすると、「あなたの読書傾向にあわせた本」の推薦だとか、「トイレットペーパーはそろそろ切れた頃ではありませんか」と問うてくる、あの仕組みである。私の購入傾向は店側に筒抜けになっており、たとえば一度エッチな本でも買おうものなら、相手は「あなたの読書傾向にあわせて」画面一杯の他のエロ本を勧めてきて、とても画面を同僚や家族に見せられない仕儀となる。

 さらに、最近のスマホはGPSという位置探査機能がついていて、原理的にはあなたが何時何分にどこに居たかがわかってしまう仕組みになっているから、会社や家族に秘匿したい(たとえば社内恋愛など、違法ではないが他人に隠したいような)行動をするときには、スマホの電源を切っておかなければ安心できない。もう少しすると、近未来にはAIを駆使することに長けた配偶者を持った人は、貞節の証明のために、スマホの電源をオンにしておくことを求められるようになるだろう。

 もっとも、スマホの位置探査機能は、電源を切ってしまえば、それから逃げることが出来る。

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 しかし、最近究極の「監視社会」を実現する機械がついに現れた。それは各所に通行人の許諾なく「治安のため」に設置される監視カメラシステムである。すでに各所の監視カメラを追いかけることによって、ハロウィンの渋谷で馬鹿騒ぎした者も、皇族が通う学校の机に刃物を置いた者も敢え無く逮捕される世の中になっている。あなたは悪事を働いていないので、それは他人事か、治安がよくなって安心くらいに思われるかもしれない。が、もうしばらくして、AIの情報処理能力が量的に向上すれば、あなたの顔写真一枚(こんなものはあなたに無断でいくらでも撮影できる)を、警察かどこかの奥の院でコンピュータに読ませると、たちまちある日ある時刻のあなたの居場所を割り出すことが可能になるだろう。それはそれで、日本市民の本能に反する、不気味なことと言わねばなるまい。
 
     
 

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