安 夫: |
先ほど、株式会社には非課税の取扱いはないとお話されました。個人でも、賃貸などの営利事業の場合、当然、非課税の取扱いはありませんよね。 |
税理士: |
個人事業の場合は、法人と異なり、実は非課税のメリットを受けられるケースがあります。 |
安 夫: |
貸付けの規模が大きくなると税負担の面で法人化した方が有利でしょうけど、個人の方が有利な点もあるということですか。どんなケースでしょうか? |
税理士: |
損害保険金を受け取る場合です。最近は、台風や地震などの災害で保険金を受け取ることも多いようです。ここでは簡略化して、火災で賃貸建物が全焼してしまい、火災保険金を受け取った事例(次表)で説明しましょう。 |
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安 夫: |
後片付け費用に係る保険金(B)は、後片付け費用(D)という経費を補填するものですね。 |
税理士: |
そうです。経費を補填する保険金は課税対象です。一方、建物に係る火災保険金(A)は、簿価1,200万円(C)の建物が火災で全焼したことによるものです。そのため、火災保険金2,000万円のうち損害額の1,200万円までは損失補填で相殺。残りの800万円については、所得税は非課税、法人税は課税対象です。 |
安 夫: |
火災保険料は不動産所得の経費ですから、受け取った火災保険金は、常識的には全て課税ですよね。 |
税理士: |
所得税法の施行令で「損害保険金で資産の損害に基因して受けるものは非課税」とされています。この場合の資産に事業用、家事用の区別はありません。 |
安 夫: |
事業用資産につき災害等で保険金を受け取る場合は、個人の方が有利な場面もあるのですね。 |
税理士: |
個人が受け取る損害保険金は、資産の損失補填、経費の補填、収入の補填などの区分により、取扱いが異なりますから注意が必要ですね。 |