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え〜っと通信

76号

2007年9月15日

村田 知生

減価償却制度の改正について

1.残存簿価1円まで償却できるようになりました

 平成19年度税制改正の目玉として減価償却制度の改正がありました。従来の税法における日本の減価償却制度では取得価額の95%までしか償却できませんでした。アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・韓国いずれの国も100%(ドイツは1ユーロまで)減価償却をすることが出来ます。日本もやっと他の先進国と肩を並べたことになります。
 このことが国際競争力を高めることになります。例えばトヨタ自動車が1億円の機械を取得し自動車を作ったとします。日本では95%までしか償却できませんから、9500万円しか費用に計上できません。でもアメリカのゼネラルモータースは1億円全部を費用に計上することが出来ます。500万円は除却か売却するまで費用化できないのです。税率を50%とするとトヨタは250万円の税金を支払いGMは税金を1円も支払わないということです。このように技術力とは関係なく減価償却の制度の違いにより日本の会社は不利な状態にあったのです。


2. さて、新しい減価償却制度とは?

 新しい減価償却の制度では残存簿価1円まで償却できます。しかし平成19年4月1日以降取得の減価償却資産と、その前日の3月31日以前取得の資産とでは取り扱いが違います。
 どこが違うのかと言うと、平成19年4月1日以降取得の資産の減価償却は初めから5%を含めて毎年の償却費を計算します。例えば取得価額1000円の資産で耐用年数5年、償却方法は定額法のものを考えてみます。イメージとしては下の図のように毎年200円ずつ費用となり5年で1円残ります。

 一方、平成19年3月31日以前取得のものは従来どおり5%を残すように減価償却費を計算し、残存価額5%となった後これを5年間で均等に償却することになります。従って残存簿価1円まで償却するには11年もかかってしまいます。

  改正後、確かに1円を残して償却できるようになりましたが、これでは平成19年3月31日以前取得のものについては恩恵を実感することは難しいかもしれません。


3.それでは簿価売買!

  エーティーオー財産相談室ではかねてより法人所有による不動産賃貸業をお勧めしてまいりました。個人で不動産賃貸業を営んでいる方が、賃貸建物を帳簿価額(簿価)で法人へ譲渡するスキームです。所得税の負担が分散できる他、結果的には相続税対策にもなるという優れもの。これによれば、譲渡先の法人では新しい償却方法で償却することが可能です。例えば以下のような例では法人に譲渡した方が3年早く残存簿価1円に達します。早く費用化する事が出来るということです。冒頭の話に戻れば簿価売買によって相続対策はおろか、国際競争力までもが高まるということになります。

帳簿価額による賃貸建物の法人への譲渡は減価償却以外にもメリットがたくさんあります。ぜひ一度ご検討ください。

※執筆時点の法令に基づいております