5404号
小規模宅地等の利用は事前準備が大切!
相続税の申告にあたっては、小規模宅地等の特例を上手に活用できるかどうかがとても重要です。なぜなら、この特例を利用することで一定面積までの土地の相続税評価額を50%減、又は80%減にできるからです。ただし、特例適用にあたっては要件があります。相続発生直前の対応では利用ができない場合があるので注意しましょう。
1. 自宅の土地の80%減
自宅の土地については、一定の要件を満たすことにより土地面積330㎡まで相続税評価額を80%減額することができます。この特例を特定居住用宅地等の減額特例といいます。
被相続人の自宅の土地を相続する際にこの特例が利用できる方は、①配偶者、②同居親族、③いわゆる家なき子、のいずれかである必要があります。このうち、①配偶者、②同居親族については、特例の利用にあたって居住年数などの年数縛りはありません。つまり、居住期間や同居期間が短いからといって対象外になる訳ではありません。
しかし、③いわゆる家なき子については年数縛りが設けられているので注意です。この家なき子特例の詳細な要件はここでは割愛しますが、要件の1つに「相続開始前3年以内に日本国内にある自分や自分の配偶者などが所有する家屋に居住したことがないこと」というものがあります。分かり易くいえば、自宅の土地を相続する相続人は賃貸暮らしを最低でも3年以上続けていた状況が必要になります。
したがって、③家なき子の要件を充足させたいのであれば、現在の状況を確認して、場合によっては相続人が住む家についても何らかの対応が必要になるかもしれません。
2. 貸家等の土地の50%減
貸家等の土地など不動産賃貸業の用に供されていた土地については、一定の要件を満たすことにより土地面積200㎡まで相続税評価額を50%減額することができます。この特例を貸付事業用宅地等の減額特例といいます。
この特例の利用にあたっては、営んでいる不動産賃貸業が事業的規模なのか、それ以外なのかにより要件が異なるために注意が必要です。事業的規模かどうかは所得税の取扱いを準用することになっており、形式的にはいわゆる5棟10室基準で判断をします。つまり、アパート等については貸室数がおおむね10室以上、戸建の貸家についてはおおむね5棟以上の貸付規模があれば事業的規模というわけです。
そして、この規模が事業的規模に満たない方は年数縛りが設けられているのです。
特例の要件の1つに事業的規模以外の場合は、「相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等を除く」というものがあります。したがって、被相続人の不動産賃貸業が事業的規模以外の方は、相続開始前3年以内に取得した賃貸物件は特例の対象外になってしまうのです。前もっての計画的な対応が必要になるでしょう。
3. 事業用の土地の80%減
事業用の土地のうち、先ほどの不動産賃貸業以外の事業の用に供されていた土地があるならば、一定の要件を満たすことで土地面積400㎡までについて相続税評価額を80%減額することができます。この特例を特定事業用宅地等の減額特例といいます。
この特例の利用についても同じような年数縛りが設けられており、一定の規模以上の事業でない場合には「相続開始前3年以内に新たに事業の用に供された宅地等を除く」となっています。やはり、ここでも3年というキーワードがでてきました。
4. 3年縛りがないものがある!
小規模宅地等の特例においては、3年縛りが必ず設けられているのでしょうか?実は、この3年縛りが無いものが1つだけあるのです。それは、特定同族会社事業用宅地等の減額特例というものです。
この特例の内容は、被相続人やその親族で50%超の株式数を所有している同族会社が、被相続人が所有する土地を不動産賃貸業以外の事業の用に供していた場合(使用貸借による場合を除く)には、一定の要件を満たすことにより土地面積400㎡まで相続税評価額を80%減額することができるというものです。そして、この特例だけは他の特例とは異なり3年縛りが無いのです。
つまり、不動産賃貸業以外の事業を行っている同族会社がその事業の用に供している土地であれば、3年縛りを受けることが無くなるというわけです。したがって、この特例に関しては相続間近であっても何らかの対応ができる可能性があります。
5. 相続前からの対策!
相続税というと、相続がおきてから税理士に申告相談をすれば良いのでは?と考える方がおられるかもしれません。しかし、それでは遅いのです。申告書作成はあくまで結果です。相続税の負担を上手に軽減したいのであれば、あらかじめの対策が何より大切です。
2026年1月30日
