5406号
社宅家賃の勘違い
法人の役員が住む家を、社宅として提供することがあります。こうすることで、社宅に係る費用を法人の経費にできるという利点があります。社宅は法人所有のものに限らないため、他から借りて提供するいわゆる借上社宅でも良いのですが、借上社宅の取扱いについて勘違いをされていないでしょうか。
1. 社宅家賃はいかほど
同族法人の場合には役員に対して社宅を貸与するケースが多いと思われます。そこで、今回は役員社宅を前提に考えることにします。
役員の社宅を考える上での最大のポイント、それは社宅の広さです。木造家屋は132㎡以下、木造家屋以外であれば99㎡以下の物件は小規模な住宅としており、社宅の広さによって取扱いに違いを設けているからです。なお、マンションの場合には専有部分だけではなく共用部分に係る面積相当も含めて判断します。
具体的には、役員が次の計算式で求めた金額以上の家賃を負担していれば、税務上は問題が生じません。
1.小規模な住宅の場合
月額家賃として、次の①~③の合計額以上
②12円×建物の総床面積/3.3㎡
③敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%
法人が他から賃借している物件、いわゆる借上社宅であったとしても、計算式で求めた金額以上の家賃であれば問題ありません。なお、賃借人は固定資産税の課税標準額を役所で調べることができます。
2.小規模な住宅でない場合
月額家賃として、次の①と②の合計額の1/12以上
(木造家屋以外は10%)
②敷地の固定資産税の課税標準額×6%
ただし、法人が他から賃借している物件、いわゆる借上社宅の場合には、計算式で求めた金額と法人の支払家賃の50%相当額とのいずれか多い金額になります。
2. 借上社宅の勘違い
役員社宅の場合、社宅の広さによって借上社宅の取扱いに違いがあることがご理解頂けたかと思います。
一番のポイントは、小規模な住宅については法人の支払家賃の50%以上でなければならないというルールが無いということです。あくまで計算式の家賃で構いません。ここを勘違いされている方が多いようです。借上社宅は家賃の50%以上を負担しなければならないはずだという思い込みがあるのでしょう。
ちなみに、借上社宅とはその名のとおり法人が借りて社宅利用をするということです。したがって、賃貸借契約は法人名で行う必要があります。個人名義で借りている物件を社宅扱いにすることはできません。
また、社宅家賃の取扱いは福利厚生の側面から設けられている制度です。役員や従業員以外の方は取扱いの対象外ですのでご留意ください。
3. 3割引きの取扱い
上記1の計算式の金額は、小規模な住宅については比較的低額になる傾向が高いのですが、小規模な住宅でない場合にはそこそこの金額となり思ったよりも高額になってしまうケースが多々あります。このような場合、もっと低い家賃設定ができるような取扱いは無いのでしょうか。
そのようなときは、公的使用部分がある場合の取扱いを考えてみましょう。この取扱いでは、社宅の一部を法人の業務のために使用する部分がある場合には、先ほどの家賃を30%引きしてよいことになっています。計算した社宅家賃が高額になるということは、ある程度の広さがあるはずです。法人業務のために必要な応接室や資料保管場所などの部分があるのならば30%引きができます。上手に活用すると良いでしょう。
4. 豪華社宅って何?
そのほかによくある勘違いは、豪華社宅の取扱いです。これは、社会通念上一般的な住宅でないような豪華社宅は上記1の計算式を利用することができず、相場賃料にしなければならないというものです。
ここでの勘違いポイントは、社宅の床面積が240㎡超である場合には豪華社宅の判定をしなさいという税務ルールが置かれていることです。そのため、240㎡超の物件は豪華社宅だと思い込んでいる方がいますがこれは間違いです。豪華社宅であるか否かは、床面積に関わらず社宅の状況を総合勘案して判定するのが正しいルールです。肌感覚としては、240㎡超であっても広さだけで豪華社宅に該当するようなものはほとんど無いでしょう。
5. 相続時は社宅より自宅か
相続税では、自宅敷地の330㎡までを80%減にすることができる小規模宅地等の特例があります。建物を法人化して社宅としている場合にはこの特例は適用できないため、相続前のどこかで時期を見計らって建物を個人所有にしておくと良いかもしれません。
元気なうちは社宅制度を利用して上手に経費化、相続時には自宅として80%引きを利用する、このような計画はいかがでしょう。
2026年3月31日


