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TOPATO通信いよいよ始まった不動産検索システム 5407号

ATO通信

5407号

2026年4月30日

高木 康裕

いよいよ始まった不動産検索システム

 いよいよ令和8年2月2日から、所有する不動産を検索できる「所有不動産記録証明制度」の運用が開始されました。この制度を利用することで、全国にある不動産情報を検索することができます。相続の際に不動産を調査したいのであれば特に便利な制度です。是非とも活用をしましょう。

1. 所有不動産記録証明制度とは

 相続登記の義務化、住所等変更登記の義務化の流れを受けて、ついに所有不動産記録証明制度がスタートしました。
 堅苦しい名称が付けられていますが、簡単にいえば法務局が提供する所有不動産の検索システムと思っていただければよいでしょう。この検索システムが注目されている理由、それは登記情報を活用した検索ですので、全国の不動産情報を一度に調べることができるからです。
 今までは、所有不動産を調査したいと思った場合、実務的には市区町村の固定資産税情報を用いていました。具体的には、固定資産税の名寄帳というものを取得して、これを不動産リストとして利用していました。
 ただし、これにはデメリットがあります。それは、名寄帳は固定資産税という枠組みの中の書類という性格上、市区町村単位でしか発行されないという縛りがあることです。そのため、全国を調査したいのであれば、全国の全ての市区町村に照会をかける必要があり、そんなことは現実的には無理!というわけです。
 そのため、所有不動産の所在がある程度分かっている前提での調査でした。ただし現実的には、不動産を所有していれば固定資産税の納税通知書が届くはずですので、漏れが生じる可能性は低いといえます。しかし、固定資産税が免税点以下である場合には納税通知書が届きません。うっかり漏れてしまうリスクがあったのです。

 土地の免税点・・・課税標準額の合計が30万円以下 
 建物の免税点・・・課税標準額の合計が20万円以下 
 (令和9年度以降は建物も30万円以下の予定) 

2. 検索はどのように行う

 所有不動産記録証明制度は、①請求、②検索、③交付という3ステップで行われます。
①請求
 請求ができるのは所有者と、相続人その他の一般承継人(いわゆる包括受遺者など)です(法人も含む)。
 相続登記の義務化の流れからできた制度ですので、当然に相続人は請求できます。
 また、代理人も請求できますので、税理士が委任を受けて取得することも可能です。
②検索
 法務局の登記官が、検索条件をもとにシステムで検索します。システムで検索するため、登記簿がコンピューター化されていない不動産、いわゆる紙の登記簿は検索対象外です。
③交付
 検索条件ごとに所有不動産記録証明書というものが発行されます。発行対象は、所有権の登記名義人として記録されている不動産のみです。したがって、表題登記だけ行った建物など、権利部の登記(保存登記)をしていないものは対象外です。ご注意ください。

3. ポイントは検索条件

 この制度の最大の肝、それは検索条件です。当然ですが、検索条件に合致しなければ抽出されません。

 検索条件のルール(個人の場合)
 ・氏名の前方一致、かつ、住所の市区町村までが一致 
 ・氏名の前方一致、かつ、住所の末尾5文字が一致
  (ローマ字氏名での検索も可)

 ここでのポイントは、検索条件は複数指定ができるということです。つまり、苗字が変わった方、住所変更が登記に反映されていないと思う方などは、過去の氏名や住所もまとめて検索条件に追加すればよいのです。

4. これからは検索が必須?

 利用料金は書面請求をする場合で検索条件1つにつき1通1600円です。なお、オンライン請求もできます。料金は検索条件1つあたりですので、検索条件を追加すればするほど料金は増加します。ただし、せっかくできた便利な制度ですから、苗字が変わった方や、住所変更があったと思われる方は検索条件を増やして上手に活用するとよいでしょう。
 まずはお試しに、自分が所有する不動産を検索してみるのはいかがでしょう。それと、すでに亡くなっている先代の氏名と住所で検索するのはどうでしょうか。家族も知らず、相続登記も忘れていたような不動産が検索されるかもしれません。どのような結果になるのか、とても興味深いところです。
 いずれにしても、これからは全国の不動産情報を検索できるようになります。当然、税務署だって情報収集ができるということです。これからの相続実務は、所有不動産記録証明制度の活用が必須になるのでしょう。

※執筆時点の法令に基づいております