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TOPATO通信あるならば課税する固定資産税 5410号

ATO通信

5410号

2026年7月31日

高木 康裕

あるならば課税する固定資産税

 土地や家屋などを所有していれば固定資産税が課されることはご承知のとおりです。固定資産税は、日本全国の固定資産を対象に課税できるのが特徴であり、市町村にとってはまさに安定財源となっています。だからこそ、固定資産税はきっちりと、しっかりと、確保できるような課税ルールが定められています。

1. 市町村における基幹税

 固定資産税は地方税のうち市町村税に該当します。全国に広く存在する固定資産を対象にしているため、税源の偏りが小さいとも言われています。そのため、市町村税にふさわしい基幹税目、それが固定資産税です。(東京都特別区は都税事務所が課税)
 固定資産税は課税の対象が3種類に分かれています。1つめは土地、2つめは家屋、そして3つめは償却資産です。
 土地・・田、畑、宅地などの地目に区分して課税
 家屋・・住宅、店舗などの用途に応じて課税
 償却資産・・土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産に課税
 ※固定資産税では建物のことを「家屋」といいますので、今回は呼称を家屋に統一します。
 償却資産に対する税金は、一般的には「償却資産税」と呼ばれています。そのため固定資産税とは違う税目なのかと勘違いしやすいですが、これも土地や家屋と同じく種類としては固定資産税です。
 それでは、ここまでのことを整理してみましょう。なんとなくでも固定資産税の内容が分かりましたでしょうか。世の中の固定資産を対象に、全市町村が課税する基幹税という性格ですので、安定的に税の徴収ができるような制度にするはずです。つまり、固定資産が存在するならば必ず課税をしたいという意図が見えてきます。

2. 土地への課税

 土地は減価するような資産ではありません。したがって、時の経過により価値が減少することがないため、時価の変動はあるものの課税対象額が大きく減ることは基本的にはありません。土地がある限り、常に一定水準以上の固定資産税を課税することができます。

3. 家屋への課税

 家屋は土地とは異なり減価する資産です。したがって、時の経過により価値が減少しますので、課税対象額は年を経過するごとに減っていきます。いわゆる減価償却をイメージすると良いでしょう。
 ただし、実際には所得税や法人税の減価償却方法を単純に準用しているわけではありません。固定資産税では経年減点補正率という独自の補正方法を定めており、この補正率を用いて経過年数による減価調整を行います。この経年減点補正率が、家屋の固定資産税を計算する上では大きなポイントになっているのです。
 所得税などの減価償却では、家屋の取得価額は備忘価額である1円まで償却することができます。つまり、帳簿価額は限りなくゼロになります。しかし、経年減点補正率は違います。家屋が存在するのであればその経済的価値は最低でも再建築価額の20%はあるとします。
 したがって、どんなに古くなったとしても、例えば建築後50年経過したとしても、時の経過による減価は80%までしか行いません。残りの20%は残存価値として残すということです。
 いつまで経っても、そこに家屋がある限りは再建築価額の最低20%に固定資産税を課税するのです。

4. 償却資産への課税

 自動車などは除かれていますが、事業用資産は償却資産として固定資産税の対象です。なお、償却資産の要件には、所得税や法人税の計算で減価償却費が経費に算入されるものとなっており、その範囲は減価償却資産になります。
 減価償却資産は、先ほどの家屋と同様に時の経過により価値が減少します。そうすると、同じように経過年数による減価調整を行う必要がありますが、その具体的な計算方法は、旧定率法による減価償却となります。
 所得税などでは現在は新定額法や新定率法というものがあるのですが、償却資産は相変わらず従前からの旧定率法を採用したままです。新定率法に比べて償却率が低いために減価スピードが遅くなります。しかも、ここでの一番のポイントは旧定率法の考え方を踏襲するからこそ、減価償却は95%までしか行わないことです。残存価額として取得価額の5%がずっと残ります。
 いつまで経っても、そこに償却資産がある限りは取得価額の最低5%に固定資産税を課税するのです。

5. 免税点が増加したというものの

 物価高対策への一環として、固定資産税が課税される最低ラインである免税点が見直されます。令和9年度から家屋は20万から30万へ、償却資産は150万円から180万円へと免税点が引き上げられます。ところが、土地の免税点は30万円のままで変更なしです。地方では都市圏と違って地価上昇が見込めない可能性も影響しているのでしょうか。物価高やインフレがあったとしても、一番の安定財源である土地についてはそもそも見直し対象外というのが現実です。

※執筆時点の法令に基づいております