令和8年6月に、日本銀行は政策金利の0.25%引き上げを決定しました。これにより政策金利は1.0%となり、この金利水準になったのは約30年ぶりとのことです。超長期間に及んだ低金利時代も終焉し、金利のある世の中へと移行したのです。年内には更なる引き上げも取り沙汰される中、税金への影響はどうなのでしょうか。
1. 政策金利は1.0%になった
日本銀行は令和8年6月16日に、政策金利を1.0%程度になるように誘導することを決定しました。政策金利とは正確には「無担保コールレート(オーバーナイト物)」のことを言い、国内で金融機関同士が資金を融通する際の短期金利(翌日返済物)のことを指します。
金利が上昇したからといって、必ずしもすぐに税務に反映されるわけではありませんが、しばらくすると影響が出てきます。相続税評価への影響については2024年(令和6年)10月号で述べましたので、今回は評価以外のことを考えてみることにします。
2. 延滞税や利子税が上昇
法定納期限までに国税を納付しなかった場合には、納期限から実際の納付日までの期間について遅延利息に相当する延滞税が課されます。また、単純に納付が遅れたのではなく、所定の手続きによって納期限の延長が認められた場合には約定利息に相当するものとして利子税が課されます。
この延滞税や利子税の割合は、年ごとに決めることになっています。つまり税務においては、金利は年1回見直しを行うというわけです。令和8年の延滞税等の割合は、やはり昨年の金利上昇が影響したのでしょう。数年ぶりに上昇しました。

ちなみに、この利子税の割合と税金の還付の際に上乗せされる還付加算金の割合は同じです。今年からは還付加算金が増えるということですので、この点は嬉しいことです。
金利が徐々に上がってきている状況を踏まえれば、来年は延滞税等の割合も更に上昇するに違いありません。
3. 延納に係る利子税
相続税の延納をしている方には、延納利子税が課されます。この割合も延滞税と同じように年ごとに決まります。先ほどの利子税の割合に連動することになっていますので、当然ながら今年から上昇しました。
相続財産に占める不動産等の割合が75%以上の場合の不動産等に係る延納利子税の割合は、昨年まで長らく0.4%でした。これが令和8年からは0.6%になりました。延納利子税の割合は市中金利に比べると低いことからメリットが大きいのですが、これも来年には更に上昇することでしょう。
4. 無利息貸し付け
役員や従業員が会社から金銭を借り入れた場合には会社に利息を支払う必要がありますが、この金利水準はどのように考えれば良いのでしょうか。結論としては、会社が他から金銭を借り入れ(用立て)して貸し付けたような場合でなければ、税務上は先ほどの利子税の割合が目安になります。したがって、令和8年からは1.3%です。
ここ最近はこの割合が0.9%であったこともあり、約1%前後の設定をしていれば問題がないものとして実務的には処理をしてきましたが、これからは1%超とするかどうかの検討が必要になるでしょう。
また、個人間で金銭の無利息貸付けをした場合にはどうでしょう。無利息の場合、借主に利息相当額の経済的利益が生じますが、その金額が少額または課税上弊害がないと認められる場合には、強いて贈与税課税をしなくても良いという取扱いがあります。これも利子税の割合が上昇すれば見方が変わるかもしれません。
今までは1億円の貸し借りでも年利1%であれば利息は年間100万円のため、贈与税の基礎控除額以内でした。これが1%を超えて更に上昇するとなると利息相当額もその分増加します。今までよりも注意が必要です。
5. 資産運用も見直そう
最近は物価高の状況が続いています。モノやサービスを中心にインフレ傾向となっており、政策金利は上昇してきました。今までの30年とは異なり、口座に預けているだけでは実質的な価値が大きく目減りする可能性があります。路線価の上昇に伴って想定する相続税額が増加し、納税資金が不足しそうだと感じている方も多いのではないでしょうか。
個人向け国債の表面利率ですら2%弱となり、新窓販国債の10年固定物は2.7%(令和8年7月)です。生命保険の予定利率も軒並み上昇していますので、保険の見直しも含めて資産運用の再検討が必要です。
