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今月の言葉

2022年5月1日

 本稿が掲載される頃には、季節はすっかりビールの美味い時期になっていることだろう。この稿の筆者がかつて在籍したビール会社で、「家庭で食べるビールのつまみには、何が良いか」という議論があって、各自故郷の味自慢、嫁さんの味自慢などが出た末に、結論としては、セロリ、胡瓜、にんじん、大根などの生野菜に塩を掛けて食べるか、空豆、枝豆などをただ塩茹でして食べるのが、いかなる手を掛けた料理よりもビールに合うということになった。結局、素材そのままが良いということなのであろう。

 そこで、生野菜は置いて、今月は豆のお話し。

 まず、世界六大食用豆というものがあるそうだ。大豆、落花生、えんどう豆、隠元豆、ひよこ豆、そして空豆。なかでも空豆は、チグリスユーフラテス河流域からエジプトで4000年以上も前から食用として栽培されていたそうで我ら人類とは、長いつきあいのある豆だ。日本でも、奈良時代には既にインドの僧侶が中国を経て持ち込んだと考えられている。名前の由来は、実が空に向いて成るからと言う大変おめでたいものでもあるが、蚕豆、天豆、野良豆、四月豆、夏豆等の異名もある由。

 野菜として未熟な若い豆を茹でるなどして食べるほか、完熟させた豆を乾燥させたものはフライビーンズ(いかり豆)や菓子の原料に使われる。豆板醤に使われるのも、この乾燥豆の方だそうだ。

 日本における主産地は鹿児島、千葉、茨城など。国内の市場に出回っているもののほとんどは一寸そら豆と呼ばれるタイプで、一つのサヤに二、三粒のものが主流となっている。空豆料理の王道は塩茹でに尽きるが、さやごと焼いて、中で蒸し上がった空豆を食するのも乙なものである。

 次に、ビールと言えば、枝豆。あの緑色鮮やかな枝豆が、大豆の若い時の姿であることは、知らない方もけっこうおられる。枝豆とは未成熟な大豆を収穫したもので、枝付きのまま扱われる事が多かったために「枝豆」と呼ばれるようになったとか。言葉の意味としては、枝付きの豆はみんな枝豆なのだが、なかでもとくに大豆の枝付き豆が「あの」枝豆なのである。国産の普通の枝豆以外にも、山形特産の「だだちゃ豆」(だだちゃは親爺の意)や、丹波地方特産の黒豆品種の「丹波黒大豆枝豆」などのブランドものもある。さらに「ずんだ」という異称もある。これは緑色の枝豆を潰してペースト状にしたもののこと。これをまぶして「ずんだ餅」などをつくる。枝豆選びのこつは、スーパーマーケットなどで、枝から切り離されて袋に詰められているもの(その方が手はかからない)は避け、必ず枝についたままのものを買うこと。枝に残っている葉っぱが新鮮な緑であるものを選ぶと良い。ⅱ

 最後にグリーンピース、えんどう豆。調べてみると「エンドウ豆には、豆を食べる”実えんどう”と豆が大きくなる前に若取りし、さやごと食べる絹さやなどの”さやえんどう”とがある」と書かれていて、前者の代表がグリーピース、後者の代表が絹さやということになろうか。この関係は、大豆と枝豆の関係に等しい。ただしグリーンピースは、未成熟の若い豆の時にさやごと食べることも出来る。料理法は、グリーンピースなら、サラダ、メインディッシュの付け合わせ野菜としても、あるいはベーコン等と炒めてもよい。絹さや、スナップ豌豆、砂糖豌豆など若豆をさやごと食べるものも、煮物のお供、味噌汁の具など和食に使うイメージがあるが、緑の豆をちょっと炒めるか、さやごとサッと茹でて、塩味だけで食べるのが、ビールのつまみとしては望ましい。ⅲ

 豆は、芋類と比較して糖質も少なく、栄養価のバランスがよい。健康的な食品である。

ⅰ https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/soramame.htm
ⅱ https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/edamame.htm
ⅲ https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/endou.htm
本稿は、「旬の食材百科」サイトを参考とさせていただき、その一部を引用している。