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TOPえ〜っと通信住宅特例の活用で、お子様のマイホーム取得をお得に援助
~住宅資金贈与の特例/多世帯同居改修で税額控除~
192号

え〜っと通信

192号

2017年4月14日

米田 純子

住宅特例の活用で、お子様のマイホーム取得をお得に援助
~住宅資金贈与の特例/多世帯同居改修で税額控除~

 日銀のマイナス金利政策の影響もあり、最近では住宅ローンの金利はかなり低水準になっています。「そろそろマイホームを」と検討されているお子様のために、何か資金援助をしたいと考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。住宅の購入時には、様々な税制の優遇措置があります。要件を確認して、お子様のマイホーム取得のためにお得な援助の方法を考えてみてはいかがでしょうか。


1.住宅取得資金の贈与の特例

  お子様がマイホームを購入、新築する際にご両親から資金の援助を受ける場合には、一定の金額まで贈与税が非課税になる『住宅取得資金の贈与の特例』があります。
 非課税となる金額は売買(請負)契約の締結日と住宅の性能により、以下の通りです。

※省エネ住宅とは断熱性能、耐震等級で一定の基準を満たした住宅として、証明書が発行されるものをいいます。購入時に売主様にご確認ください。
※消費税率が8%の前提です。
上記の特例は、暦年課税制度を適用する場合には110万円の非課税枠を併用できます。
相続時精算課税制度を適用する場合には2,500万円の非課税枠を併用できます。この場合、平成29年に省エネ住宅の取得の契約をすれば贈与年において1,200万円+2,500万円で合計3,700万円まで贈与税が非課税になります。
(相続時精算課税の贈与は相続時に相続税の対象とされますのでご注意ください。)


2.適用時のポイント

A. 頭金のお支払は要注意!
 この特例を受けるためには、原則として贈与を受けた年の翌年3月15日までに物件の引渡しを受け、お引越しをすることが条件です。タワーマンションなどの大規模分譲物件の場合、頭金のお支払から物件の引渡しまでに数年を要することがあります。このようなケースで頭金のお支払時に贈与を実行してしまうと、翌年3月15日までにお引越しができないため、特例の適用を受けられず、贈与税が課税されてしまいます。贈与のタイミングにはご注意ください。
B. お婿さん、お嫁さんへの贈与は対象になりません。
 直系のお子様への贈与が対象になります。お婿さん、お嫁さんへの贈与ではこの特例は適用できません。例えば、お嬢さんに贈与を行ったにもかかわらず、お婿さんの単独名義でマイホームを登記してしまうと、お婿さんに贈与税がかかってしまいます。このようなケースでは拠出資金の割合に応じて、お子様ご夫婦の共有名義で登記するよう、気をつけてください。
C. 株で儲けた年は要注意
 贈与の年のお子様の所得金額は2,000万円以下でなければいけません。うちの子供にはそんな所得は無いと思っていたら、知らないうちに株で儲けていたというようなケースは要注意です。源泉徴収有りの特定口座で株の運用をしている場合、株の儲けは申告しなければ所得金額に合算されませんが、申告する場合には、その他の所得と合算して2,000万円の判定をされますので、注意が必要です。ちなみに贈与するご両親の所得金額は関係ありませんのでご心配は不要です。
 その他主な適用要件は以下の通りです。

中古の場合、木造なら築20年以内、マンションなら築25年以内などであること。
お子様は贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上であること。
物件の登記上の床面積(マンションなら専有部分)は50平方メートル以上240平方メートル以下であること。
この特例を適用する旨の贈与税の申告をすること。


3.多世代同居改修工事の特例

 お子様世帯との同居を考えてご自宅をリフォームされる方もおられるかと思います。所得税の税額控除を受けられる『多世代同居改修工事の特例』が用意されています。
 A.キッチン B.浴室 C.トイレ D.玄関 のいずれかを増設し、改修後、AからDまでのいずれか2つ以上が複数になる工事を行う必要があります。
 控除額は、ローンを組んだ場合には5年間の合計で最大62.5万円、現金の場合は1年限りで最大25万円です。


4.適用時のポイント

 この『多世代同居改修工事の特例』は、改修工事を行ってから6ヶ月以内に居住することが要件ですが、今のところお子様との同居を要件としていません。
 ローンの金利が2%未満なら、税額控除のメリットが金利の支払コストを上回ります。低金利の今、将来の同居に備えて、ご自宅のリフォームを考えてみるのも良いかもしれません。
 なお、申告の際には建築士等が発行する工事証明書が必要になります。税額控除を受けるための所定の証明書の発行を受けられるか否か、必ず工事前に建築会社等にご確認ください。

※執筆時点の法令に基づいております