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え〜っと通信

29号

2003年9月1日

前川 真也

土地の形を良くして有効活用を…

 お持ちの土地は有効活用できていますか?土地の形が悪い、建物が建てられないなどの使い勝手が悪い土地をお持ちの方はいらっしゃいませんか?売りたい価格では売れず、ましてやこれといった良い活用方法も見当たらずに、そのまま放置していたりしていませんか?これらの土地についても当然に毎年固定資産税がかかってきますし、相続が起こった際には相続税の対象にもなるのです。収益を生まないままでは、その資産を所有するメリットはありません。それでは利用価値を高めるためにどうすればよいのでしょう?形が悪いのであれば、ここは一つその土地の形が良くなるように考えましょう。具体的には下図をご覧下さい。A土地の所有者が、有効活用を考えて隣のB土地を買い取る場合のお話です。B土地と一体として利用できるようになれば、土地全体の形が良くなり、以下のような活用方法も拡がってくるでしょう。


1.収益物件を建築して収益性を高めましょう・・・。

 まず、この土地の上にアパートやマンションなどの収益物件を建築することを考えましょう。建物が完成して賃借人が入居した後は、賃借人に帰属する権利分は土地の評価額は下がり、賃貸収入としてキャッシュがどんどん(?)懐の中へ・・・。そこで、頭を悩ますのが重くのしかかってくる所得税・住民税の負担!こんな時、親族が主宰する収益建物の所有型法人を活用して所得の分散を図り、税金対策をいたしましょうという話が登場するのですが、今回は紙面の都合上この話はここまでとさせて頂きます。


2.物納しやすい土地に変身させましょう・・・。

 いざ相続が起こった際に十分な納税資金がないときはどうなるのでしょう?相続財産である土地で相続税を納め(物納)ましょうという話になるはず。そんな時、A土地のような形の悪い土地をそのまますんなりと引き取ってもらえるでしょうか?物納の手続きをスムーズに行うためにも、事前に物納が認められやすいような形の良い土地に変身させておくのも一つの手では・・・。相続税に充ててもらえる金額は原則として相続税評価額です。A土地とB土地とを一緒に物納した方が、A、Bそれぞれの評価額の合計金額よりも約3,500万円も評価額、つまり収納額が大きくなるのです。比較的近い将来に相続が起こると予想される場合にはよい方法でしょう。


3.売却してキャッシュに転換しましょう・・・。

 最後にこの土地を売却してキャッシュに換えた場合はどうでしょう?仮に相続税評価額で売買が成立するものとし、A土地については厳密な取得価額が不明の場合に用いる概算取得費(譲渡金額の5%)を使います。また、話を簡単にするために譲渡所得税を計算する際の特別控除は考慮いたしません。すると、A土地だけで売却した場合には、下記の算式のとおり約1億300万円が手許に残ることとなります。

【算式】
(売却金額)      (譲渡所得税等)
1億3,700万円 -( 1億3,700万円 × 0.95 × 26% ) = 1億300万円

 これに対して、隣のB土地を1億円で買い取って、A土地とともに売却した場合には、手許に残る金額が下記の算式のとおり1億2,900万円となります。

【算式】
① 譲渡所得税等
(譲渡金額)     (B土地の購入費用) (A土地の購入費用)
【 2億7,200万円 -  1億円  -  2億7,200万円 × 350㎡/550㎡ × 5% 】 × 26% ≒ 4,300万円

② 手取りの金額
  (売却金額)     (B土地の購入費用) (譲渡所得税等)
  2億7,200万円 -  1億円  -  4,300万円  = 1億2,900万円

 ですから、A土地だけをそのまま売却するよりも手取りのキャッシュが2,600万円もアップすることになります。

 このように、有効な活用方法がないと悩みの種であったお持ちの資産がやり方によっては長期間にわたる収益や保有利益を生み出す立派な?資産に大変身!

 土地の値上がりが期待できなくなったデフレのこのご時世です。ちょっとした工夫がご自身の財産を積極的に増やすことになるのです。

※執筆時点の法令に基づいております