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え〜っと通信

7号

2001年7月1日

大井 敏生

金庫株の解禁 実は中小企業のオーナーにとって大変な朗報です

金庫株とは企業が特定の目的を定めずに自社の発行した株式を取得・保有する制度です。
従来の商法ではストックオプションや消却などの場合を除き、自社株の取得を原則禁止していましたが、今回の商法の改正により、金庫株の取得が正式に認められました。
新聞紙上はもっぱら上場企業を対象にした内容の報道をしていますが、実は中小企業のオーナーにとっても非常に重要な商法改正なのです。



今回の改正では、
①定時株主総会の決議により、会社が買い受けるべき株式の種類・総数・取得価格の総額を定め、
②取得価格の総額を利益処分後の配当可能利益の範囲とすれば、 
会社自身の資金で、会社の株式を、目的を定めることなく、購入できるようになったのです。
もちろん、この制度は全ての法人に適用されます。
つまり、これまで評価だけが高く、全く流動性がないため不良資産として考えられていたオーナー所有の未上場株式の流動化が、自分の会社の資金で図れるようになったのです。
しかしながら、喜んでばかりもいられません。実際に対策を実行するには検討すべき事項も多く、また、税法の取り扱いも複雑で、大きな落とし穴が待っている場合もあります。
みなし配当の問題や買い取り価格の決定など、ひとつ間違えば、予想をはるかに上回る税金が・・・たとえば、金庫株の買い取り価格。買い取り価格は、原則として法人税法上の時価となっています。では、法人税法上の時価とはどうやって求めればいいのでしょうか。また、自社株式の相続税評価の場合には認められている「法人税等相当額(42%)」の純資産価額からの控除も認められませし、中心的同族株主(同族で25%以上保有する場合等)が保有する株式の評価方法も違ってくるのです。商法の改正が認められたばかりなので、まだまだ不明な点も多いですが、対策には細心の注意を払わなくてはいけないのも事実です。

少しでもお役に立てれば幸甚です、転ばぬ先のATO・・・

※執筆時点の法令に基づいております