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TOPえ〜っと通信使いこなせるのか!?証券税制 38号

え〜っと通信

38号

2004年6月1日

矢頭 英明

使いこなせるのか!?証券税制

 今回のえ~っと通信は、クラブATOの会員の方からのお問い合わせが多かった個人の証券税制についてです。  証券税制は近年、改正(改悪?)に改正(改悪?)を重ね、ますます複雑になってきています。 複雑な証券税制について配当等を受け取った場合、譲渡した場合を中心として2回に分けてお話させていただきます。


Ⅰ 有価証券の区分

 有価証券と聞いてどんな種類のものが思いつくでしょうか。株や国債などが一般的です。
 株や国債の他には社債・出資金・受益証券など、国内だけでなく国外のものなどさまざまなものがあります。
 今回は証券会社等にて比較的簡単に購入できるものを中心に、課税方法によって下記の様に区分し具体的なものを挙げました。
 上場株式等を譲渡した場合の詳細、法人の場合、国外のものについては紙面の関係から次回以降にご説明させていただきます。
1上場株式等・・・・・・・・・証券取引所に上場されている株式等
 (例)上場株式・店頭登録株式・上場ETF(上場投資信託)・上場J-REIT(上場不動産投資信託)
2非上場株式等・・・・・・・上場されていない株式等
 (例)非上場株式・非上場出資金
3公募株式投資信託・・・一般に購入可能な投資信託のうち目論見書に株式を1株でも組入れできるものと規定して いるもの
 (例)○○オープンファンド、○○インデックスファンドなど
4公社債・・・・・・・・・・・・・政府や企業などが発行する債券
 (例)国債・地方債・上場社債
5公社債投資信託・・・・・主に債券で運用する投資信託で株式を一切組み入れないで運用するもの
 (例)MMF・中期国債ファンド
 投資信託は株式や公社債に比べて、少ない金額から投資ができる、分散して投資ができる、商品の種類が豊富であるなどの特色があります。


Ⅱ 配当等に対する課税方法と税率

1 課税方法と税率等

 配当等(分配金・利子を含む)を受け取った場合の課税方法・税率・適用期間は下記の表の通りです。

※1 総合課税を選択した場合の税率は、所得税・住民税の合計です。所得金額が増えるにしたがって適用される税率が高くなります。源泉徴収される税率の内訳は、10%(所得税7%・住民税3%)、20%(所得税15%・住民税5%)で一定です。
※2 大株主に係る配当等とは上場株式等の配当等のうち発行済株式(出資を含む)総数の5%以上を保有する株主が受ける配当等をいいます。
※3 非上場株式等に係る配当等については総合課税が原則ですが、少額配当に係る所得税については総合課税としないで源泉徴収のみの課税で完結させる方法も選択可能です。ただし、住民税については金額の多少にかかわらず申告が必要です。
 少額配当とは1回に支払いを受ける配当等の金額が5万円(配当等の支払いのための計算期間が1年以上の場合は10万円)以下のものをいいます。


2 所得金額によって変わる選択方法

 上場株式等の配当等と公募株式投資信託の普通分配金は、総合課税(給与所得や不動産所得など他の所得と合算し課税する方法)となる所得が多い場合には、源泉徴収のみ課税を、総合課税となる所得が少ない場合には総合課税を選択した方が有利となります。
 総合課税を選択した方が有利となるおおよその目安は、平成20年3月までは上場株式等の配当等については課税所得金額が330万円以下(定率減税を考慮しない場合)となります(配当控除という規定を適用し計算した場合)。
  定率減税を考慮した場合には、上記の目安となる課税所得金額が330万円を若干上回ります。

  扶養控除の対象とする方が配当等を受け取った場合は、総合課税を選択すると所得金額判定により扶養控除の対象から外れるときもありますのでご注意ください。
 確定申告時に課税方法の選択の検討を!

※執筆時点の法令に基づいております