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え〜っと通信

26号

2003年5月1日

前川 真也

鑑定評価で評価額が下がる土地とは?

お持ちの財産を高く評価してもらえるのと低く評価されるのではどちらが嬉しいですか?たとえば、絵画や骨董品などに関心がある方はご自分が大事にされているこれらの財産についてはなるべく高く評価してもらいたいと考えるのでは?某テレビ番組の○○鑑定団ではありませんが、意外な高額の評価に大感激!なんていう具合に・・・。しかし、税金を計算するために財産を評価する場合には全く事情は異なりますね。評価額が高くなればなるほど税金の負担は大きくなってしまいます。できるだけ税金を払いたくないというのが人情ですので、この場合にはなるべく低く評価してほしいというのが本音では?
  相続税や贈与税の申告における財産の評価については「時価」で行うこととされていますが、土地の評価については路線価を基に評価するのが一般的です。これは税務職員が遵守すべき、いわゆる社内規定である通達の中で、路線価が時価だと言っているからなのです。しかし、必ずしもこの路線価に基づき評価しなければならないという訳ではありません。他に時価であることを立証できるものがあれば、それらも認められますので、鑑定評価を利用することがその一つの手段として登場するわけです。
  それでは、鑑定評価を利用することでどのような土地について評価が下がるのか、いくつか具体例をご紹介します。


1.地価の下落が著しい土地

  路線価は国土交通省から毎年公表される公示価格の80%水準 に設定されており、その年中における地価の変動を考慮していま せん。ですから、地価の下落が著しい土地については鑑定による 評価額がこの水準よりも低くなる可能性があるのです。


2.無道路地・接道義務を満たさない土地

  無道路地とは、<図1>のように道路に全く接していない土地 をいいます。また、接道義務を満たさない土地とは、<図2>の ように道路に接する部分の距離が2m未満である土地をいいます。 どちらも法律上、建物の建築又は再建築ができないという点で共 通します。これらの土地は、路線価の評価ではせいぜい4割引の 評価が最大でしょうが、鑑定によれば評価額が半分以下になるな んてことも珍しくありません。


3.土壌汚染がある土地

 近年関心が高まってきました土壌汚染の影響がある土地につい ては、土壌汚染による土地の利用価値の低下・原状回復に費用が かかることなどにより鑑定によればかなり評価額が低くなるでし ょう。今後の法整備や評価方法の動向に注目していく必要があると思われます。
 以上のような土地の他にも、
 ①上空に高圧線が通っている土地、②崖地を含む土地、③広大な土地で開発を要する土地 ④極端に不整形な土地で利用価値が著しく低い土地、⑤近隣に汚水処理場や変電所などの施設がある土地 などについても不動産の鑑定評価を活用するメリットが出てくる場合があります。 ただ、鑑定士さんによって評価額が大きく異なってきます。専門家選びが難しいのは税務だけではなさそうです。

※執筆時点の法令に基づいております