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~旧「都度贈与」と新「こどもNISA」を考える~
300号

え〜っと通信

300号

2026年4月15日

税理士 沼田八千代

教育資金の「一括贈与」終了!
~旧「都度贈与」と新「こどもNISA」を考える~

 4月は入学シーズンでもあり、子・孫が進学されたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。進学をはじめ、塾や習い事なども含めると、トータルとしての教育費用が若者世代の家計の負担となりますから、親世代の皆様は「援助してやりたいな」と思われるかもしれません。ところで、教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税は、こどもNISAの創設などを理由に令和8年3月末で終了となり、銀行等で新たな申込みができなくなりました。この機会に教育資金等の贈与について整理したいと思います。

1.教育資金は「都度の贈与」なら非課税!

 贈与税では、教育資金については、扶養義務者から、その都度、必要な範囲内で贈与されるものは非課税とされています。実務的に教育資金とは、子や孫などの教育上必要と認められる学資、教材費、文具費等をいい、義務教育費に限られませんから、高額な医学部の入学金や授業料、海外留学費用やインターナショナルスクールの授業料、塾や習い事代なども含まれます。また、扶養義務者とは、所得税の扶養控除の条件とは全く関係がなく、所得制限がありません。配偶者、親子のような直接の血縁関係者、兄弟姉妹のほか、三親等内の親族で同居しているか又は同じお財布で生活している者とされています。つまり、通常の家族関係なら、入学金や毎年毎年の授業料に充てる教育資金等を必要とされるタイミングでその都度贈与されるのであれば、特段何の手続きをしなくとも問題ありません。

2.教育資金の一括贈与は不自由だった?

 教育資金の一括贈与は、数年間分の教育資金を一括して贈与を受けても、贈与時は1500万円まで非課税となりました。ただし、手続きとしては、その資金を教育費以外に使えないという制限があるため、贈与者が銀行等に資金を拠出し、受贈者は教育資金の引き出しの都度、支出した領収書を銀行等に提出する必要があり、引き出し手続きが煩わしいという声をたびたび耳にしました。

3.生活費も非課税です

 贈与税では、生活費についても、扶養義務者から、その都度、必要な範囲内で贈与されるものは非課税とされています。遠方の学校に進学するための一人暮らしの引っ越し費用や家賃を含めた生活費の贈与も、原則として贈与税はかかりません。
 ただし、何のための贈与かに係わらず、贈与を受けた金銭等が生活費や教育費として使われずに預貯金となっていた場合や、車や株式等の購入代金に充てられていた場合のように、その資金を生活費や教育費に充てられなかった部分については贈与税の対象となりますので、ご注意ください。

4.令和8年度改正のこどもNISAとは?

 NISAは、家計の安定的な資産形成を支援するための制度です。通常、株式や投資信託などから得られた配当や分配金、売却時の譲渡益は所得税等が20.315%かかりますが、NISA口座で投資した購入分については、その配当や分配金、譲渡益が非課税になります。
 令和8年度の税制改正大綱では、令和9年1月からこどもNISAが創設されます。こどもNISAの制度内容は、①0歳から17歳までのつみたて投資枠として、年60万円・限度額600万円の積立て、②一定の要件の下、12歳からは払出しが可能となり、③18歳になったら、こどもNISAは現行のNISA(限度額1,800万円)に自動的に引き継がれるというものです。
 せっかくの投資非課税枠ですから、学資保険の代わりに子や孫に贈与し、その金銭をこどもNISAで運用して大学進学等、成人後のライフイベントに伴う必要資金を蓄えてみてはいかがでしょうか。

5.やはり注意事項もあります・・・

 投資には必ず、元本割れのリスクがあります。どの金融機関でも投資商品を購入する際、「元本割れのリスク」の説明を必ず受けます。NISAで元本割れする確率は、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が出している運用シミュレーション上では投資期間が1年だと27%、10年だと0%となっています。また、NIS?は購入できる商品も一部の投資信託に限られるなどの制約もあります。
 物価上昇が続く今、現金で持つのもリスクともいえます。0歳から毎年110万円を贈与を受け、18歳までの18年後の合計1,980万円を何も運用しないと、今現在と同じ教育が受けられる保証はありません。
 もし、18年後に市場が大暴落しているようなら、NISAは解約せず、その時の学費は父母・祖父母が「都度贈与」をされてはどうでしょうか。子・孫は、18歳ですので、まだまだ長期運用で挽回のチャンスがあります。

6.結論

 次世代への資産承継の方法の正解はひとつではありません。新しい制度(こどもNISA)や従来からの制度(都度贈与)を活用し、それぞれのご家族にとっての将来設計を踏まえ、慎重に検討することが大切です。
 皆様のご資産構成や総額、家族構成などのご事情により最適解は異なります。投資の相談には対応できませんが、ご心配事がございましたらエーティーオー財産相談室にお気軽にご相談ください。

※執筆時点の法令に基づいております