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令和6年度税制改正の概要

 令和5年12月14日に令和6年度の税制改正大綱が発表されました。今回は税制改正の主要項目のうち、特に注目すべき点をご説明します。

1.所得税・個人住民税の定額減税

 国民負担の緩和、デフレ脱却のための一時的な措置として、令和6年分の所得税及び令和6年度分の個人住民税の減税が行われます。
(1) 減税額
 ① 所得税 本人3万円+同一生計配偶者又は扶養親族1人につき3万円
 ② 住民税 本人1万円+控除対象配偶者又は扶養親族1人につき1万円
(2) 所得制限
 ① 所得税 令和6年分の所得税の合計所得金額1,805万円以下(給与収入2,000万円以下に相当)
 ② 住民税 令和6年度分の住民税の合計所得金額1,805万円以下
(3) 実施方法
 ① 給与所得者
  (イ) 所得税 令和6年6月1日以後最初に支払を受ける給与等の源泉徴収税額から控除し、
        控除しきれない場合は翌月以降の税額から順次控除。
  (ロ) 住民税 特別控除後の住民税額を令和6年7月から令和7年5月までの11ヶ月で均等徴収。
 ② 公的年金受給者
  (イ) 所得税 令和6年6月1日以後最初に支払を受ける公的年金等の源泉徴収税額から控除し、
        控除しきれない場合は翌々月以降の税額から順次控除。
  (ロ) 住民税 令和6年10月1日以後最初に支払を受ける公的年金等の特別徴収税額から控除し、
        控除しきれない場合は翌々月以降の税額から順次控除。
 ③ 不動産所得・事業所得者等
  (イ) 所得税 令和6年分の第1期分予定納税額から本人分の特別控除の額(3万円)を控除し、
        控除しきれない場合は第2期分予定納税額から控除。
        ※最終的には確定申告の機会に減税。
  (ロ) 住民税 令和6年度分の第1期分の納付額から控除し、控除しきれない場合は第2期分以降の
        税額から順次控除。

2.住宅借入金等特別控除の改正

 子育て特例対象個人(夫婦のいずれかが40歳未満の者又は19歳未満の扶養親族を有する者)が一定の新築住宅を取得した場合の取扱いが下記のように変更されます。
(1) 令和6年入居の控除対象借入限度額を上乗せ
   認定住宅:4,500万円→5,000万円
   ZEH水準省エネ住宅:3,500万円→4,500万円
   省エネ基準適合住宅:3,000万円→4,000万円
(2) 床面積要件を40㎡以上とする認定住宅等に係る緩和措置を受けるための建築確認の期限が令和6年12月31日まで1年延長されます。

3.住宅特定改修特別控除の追加・見直し・延長

 子育て特例対象個人が一定の子育て対応改修工事をした場合が対象工事に追加されます(控除限度額は25万円)。工事内容は転落防止工事、対面式キッチンへの交換工事等。
 既存住宅等に係る一定の改修工事をした場合における適用対象者の合計所得金額要件が3,000万円から2,000万円(耐震改修は所得要件なし)に引き下げられた上で適用期限が令和7年まで2年延長されます。
 なお、一定の子育て対応改修工事と併せて他の改修工事を行った場合の控除限度額は62.5万円になります。

4.住宅取得等資金贈与を受けた場合の贈与税非課税措置の延長及び相続時精算課税制度の特例の延長

 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、省エネ等住宅の家屋の要件が耐熱等性能等級4以上(改正後:5以上)又は(改正後:かつ)一次エネルギー消費量等級4以上(改正後:6以上)へと厳しくなった上で適用期限が令和8年まで3年延長されます。また、当贈与に係る相続時精算課税制度の特例措置についても同様となります。

5.その他の主要な改正項目

 ※表をクリックすると、拡大表示されます。

2024年2月15日

建物敷地の固定資産税評価額 ~相続税評価額との相違点に注意しよう~

 土地の固定資産税は、「固定資産税評価額」を基礎として算定されます。一方、相続財産や贈与財産に土地があれば、相続税や贈与税の申告に当たり、まずはその土地の「相続税評価額」を求めます。土地の時価とされる公示価格と比べ、固定資産税評価額はその70%程度、相続税評価額はその80%程度と言われています。そうすると、「固定資産税評価額」は、「相続税評価額」の87.5%(70%÷80%)が一応の目安となるのかもしれません。しかし、その目安と大きく異なり、想像以上に固定資産税が高額となるケースがあるため、注意が必要です。

1.事例で検討してみましょう

 A土地(100㎡)は甲所有、B土地(100㎡)は乙所有で、それらの土地上に丙(第三者)所有のC建物があります。B土地は繁華街である表通りに面しており、A土地は裏通りに面しています。裏通り路線価は、表通りの路線価と比べて6分の1となっており、大きな価額差が生じています(下図参照)。

2.A土地はどのように評価するのか

 まずは、A土地の相続税評価額と固定資産税評価額(いずれも概算額)を求めることとします。便宜上、奥行価格補正や不整形地補正はないものとし、下記(2)における二方路線の影響加算率は0.05としています。また、固定資産税では土地の権利関係(借地権の有無など)は考慮しないため、ここではいずれも自用地としての評価額とします。

(1) 相続税評価額
 A土地の相続税評価額は、裏通りの相続税の路線価8万円に地積100㎡を乗じて算定しますから、次のとおり800万円になります。
 (算式) 8万円×100㎡=800万円

(2) 固定資産税評価額
 A土地の固定資産税評価額は、固定資産税の路線価を用い、C建物の敷地であるA土地とB土地を一体として評価した上で、面積割合を用いて按分します。そうすると次のとおり4,235万円になります。
 (算式)(42万円+7万円×0.05)×200㎡(全体の地積)×100㎡(A土地の地積)/200㎡(全体の地積)=4,235万円

3.固定資産税評価額が相続税評価額の5倍超

 路線価は、固定資産税が相続税より低いにもかかわらず、A土地の固定資産税評価額(4,235万円)はその相続税評価額(800万円)の5倍超になります。これは、土地の評価単位の考え方が異なることに基因します。固定資産税では、建物の敷地に供されている土地は、その権利関係にかかわらず、その敷地全体を一体として評価するルールがあります。そのため、A土地の評価において、甲が所有しないB土地が面している表通りの高い路線価の影響を受けることになります。
 一方、相続税や贈与税では、甲はA土地しか所有していませんから、A土地に面している裏通りの路線価のみで評価します。
 なお、本事例とは異なりますが、仮に甲がC建物を所有しているとすると、甲はA土地のほかC建物の敷地であるB土地も利用しているため、評価単位の考え方は、固定資産税と同様(一体評価)になります。

4.固定資産税評価における課税実務上の制約

 A土地の所有者である甲は、B土地のみならずC建物も所有していませんから、A土地の固定資産税の算出に当たり、B土地を含めて一体評価するのは合理性に欠けるように思われます。固定資産税の賦課に関する類似の訴訟もありますが、いずれも、訴えは認められていないようです。その理由としては、固定資産税の評価基準(評価マニュアル)は、個別の権利関係を詮索しない更地主義(自用地扱い)が採用されており、建物の敷地など外見上一体として利用されている土地については、その所有関係を考慮せず、全て一画地として評価するのを相当とするものです。市町村は、管内の全ての土地の固定資産税評価額を定める必要があるため、本来あるべき評価理論より、課税実務上の制約を優先せざるを得ない事情があるのかもしれません。

5.不動産取得税にも注意が必要

 固定資産税評価額は、固定資産税はもとより不動産取得税や登録免許税の課税標準としても用いられます。
 建物の敷地である1筆の共有土地について、共有を解消するため共有物の分割を行い、単独所有の2筆の土地に分割することがあります。この場合、分割後の2筆の土地の相続税評価額が概ね等しければ、所得税では等価交換として取り扱われ、課税は生じません。しかし、面している道路の路線価に大きな差があると、分割後の土地の面積は50%ずつの均等にはならず、例えば70%と30%のように差が生じるとすると、前者については20%(70%-50%)相当部分の土地の取得があったとして、不動産取得税が課税される点に注意が必要です。

2024年1月15日

電子帳簿保存制度について

令和6年1月1日以降、電子帳簿保存制度の対応が必要になる部分がありますので、今回は、この制度をご説明いたします。

1.電子帳簿保存制度とは

  電子帳簿保存制度とは、税務関係帳簿書類のデータ保存を可能とするものであり、各種制度を利用することで経理のデジタル化が図れます。また、メールへの添付など電子データでやり取りした請求書や領収書などの電子取引データは保存が義務化されます。
 つまり、この制度は、従来の紙保存からデータ保存に切り替えが可能になることで、経理のデジタル化を図り業務の効率アップができる制度ということができます。ただし、紙保存からデータ保存に切り替えるにはシステム整備をする必要があり時間や費用がかかりますので、費用に見合った効果が期待できない方は、各種制度を利用するのが難しい場合があります。そういう方は、少なくともデータでやり取りした電子取引データは消さずに保存しておかなければならないというものです。

2.電子帳簿保存制度における3つの保存制度

電子帳簿保存制度では、書類の種類、書類の受渡方法により、以下の3つに区分されています。

①電子帳簿等保存→会計ソフトで作成した帳簿、貸借対照表、損益計算書等を電子データで保存。
②スキャナ保存→取引先から受領した紙の請求書等を、スマホやスキャナで読み取った電子データ保存。
③電子取引データ保存→取引先と電子データでやり取りした請求書等を、その電子データで保存。

上記①及び②は、紙保存が可能であり、希望者のみが電子データで保存することができます。
上記③は、個人事業者・法人は令和6年1月1日以降の取引について対応する必要があります。下記3以降で、どのような対応が必要になるかをご説明いたします。

3.保存義務のある電子取引データ

メールやインターネットを介して電子データでやり取りしたもので、これまで紙でやり取りをしていた場合に保存が必要であった書類です。例えば、「注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書など」に相当するものが対象です。あくまで電子データでやり取りをしたものが対象ですから、紙でやり取りしたものをデータ化しなければならない訳ではありません。
 なお、書類を受け取った場合だけでなく、書類を送った場合にも保存する必要があります。

4.原則的なデータ保存の方法

データ保存は、「改ざん防止の措置」、「日付・金額・取引先で検索できること」など一定の要件を満たすようにしなければなりません。
 なお、2年(期)前の売上高が5千万円以下の事業者の方は、税務調査の際に電子データをダウンロードできるようにしておくことを前提に、印刷した書面(紙)を日付ごとに整理した状態で提出できるようにしている場合には、電子データ保存時の検索要件は不要となります。
 いずれにしても、データ保存を電子帳簿保存制度のルールどおり行うためには、基本的にはシステム整備をする必要があり、市販のソフトウェア等を使うと費用もかかってしまいます。

5.猶予措置(例外的なデータ保存の方法)

個人事業主・中小企業などは、資金繰りや人手不足等の事情によりシステム整備が間に合わないこともあるため、一定の要件を全て満たすデータ保存をすることが難しい場合があります。そのため、猶予措置が設けられており、改ざん防止の措置や検索機能など保存時に満たすべき要件に沿った対応は不要となり、電子取引データを単に保存しておくことができるようになりました。
 なお、猶予措置が認められるためには、税務調査の際に税務職員に対し電子データを印刷した書面を提出できるようにしており、かつ、電子取引データをダウンロードしてデータのコピーを提出できるようにしておかなければなりません。その上で、税務署長がやむを得ない理由があると認めた場合に猶予措置が適用されます。現状では、いったんシステム整備をしたのに検索機能などの要件を満たす保存をしていない場合は別として、税務署長が猶予措置を認めないという厳しい運用はされないものと考えられます。

6.まとめ

電子帳簿保存制度は、大企業のように処理件数が多く作業量が大幅に減少する場合、紙保存に膨大なスペースが必要な場合などは積極的な導入を検討すべきでしょう。しかし、不動産賃貸業などで処理件数がそんなに多くないという方は、急いでシステム整備をする必要はありません。調査の際に、以下の2つの対応ができるように、電子取引データを保存して頂ければと思います。

①電子取引データをダウンロードしてデータのコピーを提出できる。
②電子取引データを印刷した画面を提出できる。

なお、会計ソフトで作成した帳簿や紙で受領した請求書等について電子保存を検討される場合には、個別にご相談ください。

2023年12月15日

精算課税贈与の活用 ~2024年以降の考え方~

 2024(令和6)年から贈与税が変わります。暦年課税は、贈与加算が相続開始前3年から段階的に7年に延長されます。精算課税贈与は、新たに毎年110万円までの非課税枠が設けられ、使い勝手がよくなります。
 この改正を踏まえ、来年以降の精算課税の活用方法を検討します。

1.令和6年以降の暦年課税について

 令和6年以降の暦年課税は、贈与加算が段階的に7年以内に延長されるため、相続直前の節税目的の贈与が難しくなります。贈与加算は、基礎控除110万円以下の部分も含めて贈与した財産を相続財産に取り込んで相続税を計算するので、該当してしまうと贈与による節税の効果は失われます。
 ただし、贈与加算の対象となる方は、相続人、受遺者や死亡保険金の受取人など相続で財産を取得する人(以下「相続人等」といいます。)に限られます。相続人等は別として、相続人等以外の孫などへの贈与は、贈与加算の対象になりません。贈与加算のことは気にせず、これまでどおり暦年課税を使うことができます。しかも、暦年課税は、精算課税とは違い適用を受ける人の要件がありませんので、孫や子の配偶者など多くの人に贈与することが可能です。

2.精算課税の概要

・贈与者…60歳以上
・受贈者…18歳以上の推定相続人、孫
・特別控除額…累積2,500万円
・税率…特別控除額を超えた部分について一律20%
・贈与加算…2,500万円の特別控除額の枠内も含め、精算課税を利用して贈与した財産(贈与したときの評価額)をすべて相続財産に取り込んで相続税を       計算します。支払った贈与税は相続税から控除し、控除しきれない部分は相続税申告で還付を受けることができます。
・非課税枠…令和6年以降、累積2,500万円の特別控除額とは別に毎年110万円の非課税枠が設けられます。
・暦年課税と精算課税の選択は、贈与者ごとに行います。一度、精算課税を選択したらその選択をした贈与者から受ける贈与については、暦年課税に戻  ることができません。

3.令和6年以降の精算課税の活用方法

 令和6年から新たに設けられる精算課税の110万円の非課税枠を活用する方法をご説明します。


(1) ご相続が近い場合
 110万円の非課税枠の部分は、贈与加算の対象外です。つまり、精算課税を使えば、相続開始の直前であっても、年間110万円まで無税で贈与した上、相続財産から切り離すことが可能です。
 ご相続が近い場合、相続人等に対する暦年課税は贈与加算の対象になるリスクが高いです。贈与加算を回避するため、精算課税を選択できる子などの推定相続人は、精算課税を選び年間110万円の非課税枠をきっちり使って相続税を減らすことができます。


(2) 贈与者が2人の場合
 父A、母Bの2人が子Cに贈与するとします。暦年課税と精算課税の選択は、贈与者ごとに行います。令和6年以降は、A、Bの2人とも暦年課税または精算課税を選択するとCの非課税枠は110万円です。しかし、Aが精算課税、Bが暦年課税を選択すると、Cは精算課税の非課税枠110万円と暦年課税の基礎控除110万円の最大220万円まで1年間に無税で贈与を受けることができます。
 Aに相続が発生すると、CはAから贈与(精算課税)を受けた財産を最大110万円×贈与年数だけ無税で承継できたということになります。
 Bに相続が発生すると、Bからの贈与(暦年課税)のうち、贈与加算の期間を徒過したものは相続財産から切り離されます。仮に先にAに相続が発生したら、Bからの贈与について贈与加算を避けるため、暦年課税から精算課税に切り替えるのも一案です。

4.適切な選択を

 精算課税は、贈与者と受贈者に一定の要件があります。また、一度に多額の贈与をしたい場合や、将来値上がりしそうな財産を移転するには使いやすい制度ですが、一度選択すると暦年課税に戻せません。そのため、相続財産はどのくらいあるか、110万円の非課税枠を超えて贈与をするか、相続により財産を取得する予定か等、色々な検討要素があります。
 令和6年以降は2つの制度を併用することで、非課税枠が220万円まで拡充されます。次世代への財産の移転の促進のため、有効に使うことが大切です。それぞれの贈与制度について、特性を踏まえた上で使い分けることが必要と考えます。

2023年11月15日

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ATO通信

不動産賃貸業の法人成り、考え方を整理しよう

 まだ法人を活用していない方は、今年こそは!と思っている方もおられることでしょう。個人事業のままか、それとも法人成りするか。どちらが良いかは所得水準が大きな判断ポイントですが、課税体系を踏まえると分かり易くなります。すでに法人を活用している方も再度整理しておきましょう。
 

1. 個人所有は?

 個人で不動産賃貸業を行っていれば、まずは所得税を考えなくてはなりません。所得税の大きな問題は、所得つまり利益が増えると適用税率がすぐに高くなることです。所得税と住民税の合計税率は、所得控除後の所得が695万円超で33.483%、900万円超で43.693%、1800万円超で50.84%です。4000万円超になると55.945%に達します。更に、事業税がかかる方は5%の課税が上乗せされます。1800万円超で五公五民を超えますから、時代が時代なら不満が増えてもはや一揆が起こりそうなレベルです。これでも、昔は最高税率が80%を超えていたときもあったので相当良くなりました。
 次に考えるのは相続税です。先ほどとは異なり、相続税では個人所有が有利なことがあります。相続税評価額は、建物は固定資産税評価額、土地は路線価評価額です。取引相場に比べればかなり低い金額で済むので評価差額が生まれます。特に建物新築時は評価差額による相続財産圧縮効果が大きく、これを直接享受できます。(法人所有でも原則同じ評価ですが、影響は間接的です。)また、土地を所有していれば小規模宅地等の特例が使えるため、評価額を更に減額できます。
 このように賃貸不動産の個人所有は、所得税では所得が高い方はとても不利になります。一方、相続税では一概に不利とはならず評価面で有利に働きます。

2. 法人所有は?

 法人で不動産賃貸業を行えば、所得に対する税負担が所得税よりもかなりお得です。法人税・住民税・事業税の合計税率は、所得が800万円以下であれば約25%、800万円超でも約38%で済みます。個人とは最高で20%前後の税率差が生じます。つまり、所得が高い方ほど賃貸不動産は法人所有にした方がお得なのです。また、給与支払いなどを通じて所得分散ができるため、ある程度は所得のコントロールが可能です。また、経費計上面でも個人より有利です。

3. まとめると

 所得に対する税、つまりフロー課税である所得税と法人税はどちらが良いか。これは税率構造から見れば、ある程度の所得がある方は法人税に軍配が上がります。つまり、事業活動に対する課税面を考えると法人成りをした方が有利になります。
 財産に対する税、つまりストック課税である相続税は不動産の評価面で個人所有の方が有利になります。
 おおまかですが、ざっくりとイメージすれば次のような感じでしょうか。
 >> 事業を行っている期間を見た場合
   ⇒ フロー課税は法人所有が有利
 >> 相続という一時点だけを見た場合
   ⇒ ストック課税は個人所有が有利
 賃貸建物は個人で建築した方が相続税対策になるから良いというのは、フロー課税の期間が短いであろう高齢者向けです。建築から期間が経過すればその間に利益が蓄積されてしまいます。相続まである程度の期間がある方は、法人活用をした方が結局は良いでしょう。
 

4. それでは自宅はどう考える

 自宅又は事業用の土地については小規模宅地等の特例が使えます。賃貸建物は法人所有であっても、個人が土地を賃貸しているのであれば貸付事業用宅地等に該当し200㎡まで50%引きの対象です。
 これに対し、自宅敷地の330㎡まで80%引きの特例は建物が法人所有になっていると対象外です。建物は、被相続人かその親族が所有していなければなりません。したがって、社宅として建物を法人所有にしている場合にはこの特例が利用できません。相続時にはぜひとも自宅敷地の80%引きを活用したい!とお考えの方は相続が発生する前に個人所有に戻しておきましょう。
 良いとこ取りをしたいのであれば、元気なうちは社宅にして法人で減価償却費や維持管理費を経費計上します。そして、相続が想定される頃になったら法人から個人へ売却して相続に備えましょう。ただし、相続はいつ起きるのか誰にも分かりません。あくまでもご自身の責任の範囲内で。

5. 法人なら健康保険料の節約も可

 法人を活用すれば医療に係る社会保険料を抑えることもできます。国民健康保険料は個人の所得水準に応じて徴収されるため、所得が高いとその負担は介護保険料と合わせて年間100万円超になります。しかし、法人からの給与がある方は、給与水準に応じた健康保険料を納めるだけでよいのです。個人の所得がいくらであろうと、月額給与を低めに設定すればその水準の負担で済みます。ちなみに、75歳以上は所得水準による後期高齢者保険の対象になるため75歳未満の方限定の選択肢です。
 相続という「点」ではなく、相続までの間の「面」で考えるのであれば、法人は使い勝手が良さそうです。

2024年2月29日

再開発事業の権利、居住用の3千万円控除は?

 自宅を売却した際には税金の計算上いくつかの特例が用意されています。その中でも利用頻度が最も多いと思われるものは、居住用財産の3千万円控除の特例です。自宅が再開発事業の区域内にあった場合には事業にともなって建物が取り壊されてしまいますが、その権利を売却したときはどうなるのでしょう。

1. 再開発事業の権利を売却

 駅前の土地などは、有効利用の一環として再開発事業が計画されることが多いでしょう。特に東京都内では盛んに行われている印象です。
 このような背景のなか、駅前にある築50年の戸建住宅に住んでいたAさんは、ご多分に漏れず再開発事業の区域に指定されることになりました。そして、このたび権利変換が行われて自宅の建物も取り壊され、建築事業が開始されました。計画では、Aさんは新たに建築される高層マンションの1部屋を取得することができる予定です。新しいマンションに住むことができると最初はとても喜んでいたのですが、マンションの竣工は3年以上先になるとのこと。完成引き渡し後に再度引っ越しをしなければならない煩わしさ、その時の年齢などを後々考え直した結果、Aさんは新しいマンションに住むのをやめることにしました。そして、居住しないならと再開発事業の権利を現時点で第三者に売却して換金することにしたのです。

2. 土地建物の譲渡になるの?

 Aさんはすでに権利変換を受けた後ですので、現在所有している資産は土地建物そのものではありません。新たに建築されるマンションを取得することが出来る権利を所有しているのであり、正しくは「施設建築物の一部及びその敷地の共有持分を取得する権利」と言われるものです。あくまで権利であり、法的には債権になります。それでは、この権利を売却した場合にはどのように取り扱われるのでしょう。
 結論を申し上げれば、この場合は従前に所有していた資産を売却したとして税金計算を行うことになっています。つまり、権利変換前の土地建物を売却したとみなして譲渡所得の計算を行うというわけです。

3. 従前が自宅であれば居住用財産でOK

 このようにAさんは、税金の計算上は従前所有していた土地建物を売却したことになります。そうすると、自宅の売却になりますから居住用財産の3千万円控除の特例を適用することが可能です。ただし、その売却は従前の建物を居住の用に供さなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに行わなければなりません。それまでの売却であれば、建物は取り壊されて今は存在しなかったとしてもこの特例を利用できます。また、10年超所有していた自宅であれば、税率の軽減特例の適用を受けることも可能です。

4. 売却すべきか否か

 旧資産が自宅であり権利変換後に再開発事業の権利を売却するのであれば、住まなくなってから3年以内に行うのが良さそうです。しかし、再開発で取得する新しいマンションの新築竣工後の価格は、比較的高い値段で売買されることが多いでしょう。そうすると、再開発事業中に急いで権利を売却するよりも、待つことが出来るならば新しいマンションを取得して居住した後に売却した方が手取り金額は多くなりそうです。今売るべきか否か。今後の生活設計やお金事情、マンションの相場感なども良く考えて決めるのが良さそうです。

5. 再開発事業の権利の評価は?

 再開発事業では、新しい建物が出来上がるまでに長期間を要します。もしも権利変換後の建物建築中に相続が発生した場合には、「施設建築物の一部及びその敷地の共有持分を取得する権利」を評価することになりますが、これは次のような計算になると考えられます。
 ① 施設建築物の一部を取得する権利
   権利変換価額のうち建築施設部分の価額×70%×95%(工事完了まで1年超の場合)
 ② 敷地の共有持分を取得する権利
   再開発事業地(施設建築物の敷地)の路線価評価額×共有持分×95%(工事完了まで1年超の場合)
 
 権利変換価額そのものが評価額ではないのでまだ良いですが、従前の相続税評価額よりは高くなります。事業途中で相続が発生するリスクを回避したい、新しい建物にも魅力を感じない、などであれば権利を売却して早めに資産の組換えを考えるのもアリかもしれません。
 

6. マンション建替事業も同じ

 マンションの建替え等の円滑化法による建替事業で権利変換を受けたときも同様です。建替事業の権利の売却は従前資産の売却として考えます。建替えのための決議要件はこれから緩和されそうですので、再開発だけではなくこれからはマンション建替事業も増えそうです。


 


 


 


 

2024年1月31日

税法って実は古い考え方?家制度的な多くの取扱い!

 税法では、その取扱いごとに細かな要件が定められています。特に所得税や相続税では、生計一親族や同居親族などといったキーワードがとても重要になります。実は、税法には家制度的な考え方がまだまだ色濃く残っているのです。今回は、この視点から要件を見てみましょう。

1. 所得税に残る家制度

 戦後まもなく家制度は廃止され、戸主を中心とした家督相続の考えは無くなりました。所得税においても、家族を1つと捉えて合算課税するような計算は行いません。あくまで個人単位で課税するのです。現代からすれば至極当然なことでしょう。しかし、税法には古い考え方が一部に残っており、家制度的な取扱いが散見されます。そこで、まずは所得税の取扱いから確認してみます。
 事業者が、生計一親族に対して給与や地代などの対価を支払ったとしてもその金額は必要経費になりません。家族内での給与などの支払いを通じて、所得の分散や利益調整ができないようにするためです。ただし、例外として青色専従者給与などに限っては特別に経費計上できることになっています。生計一親族の射程範囲は、実務上は家単位で考えるのがミソです。


1 生計一親族が対象
  同じ家に住んでいる家族は、その全員を1つの生活単位と考えます。よって、同居親族は生計一の範疇です。
2 同居は原則生計一
  扶養しているか否かは関係ありません。家族それぞれに稼ぎがあり経済的に独立しているから生計一ではないと主張しても、それだけでは認められ ません。寝食を共にしているのであれば基本は1つの家族という考えです。

 家単位で判断しますので、同居家族は結び付きがとても強いのです。逆に別の家に住んでいると結び付きが弱いため、今度は生計一と主張することが難しくなります。家が違うからです。つまり、生計一にしたければ同居する、生計別にしたければ別居すればよいのです。この関係があれば基本的に税務署は文句を言わないことになっています。
 なお、医療費控除や社会保険料控除などの計算も家単位です。同居家族分の支払いをしたのであれば、それは合算して控除可能ですので忘れないようにしましょう。

2. 小規模宅地等のポイント

 相続税はどうでしょう。家制度の話ですから、自宅の特例である特定居住用宅地等の評価減を見てみます。
 自宅敷地の相続税評価額を最大で330㎡まで80%減にできるこの特例、次のように考えるととても分かり易くなります。ポイントはいずれも家族の結び付きです。
1 被相続人の自宅の場合
 (ア)配偶者は無条件
 民法では夫婦は同居が大前提です。したがって、現実には別居していても配偶者はこの特例を利用できます。
 (イ)同居親族は常に対象
 被相続人と同居していれば、家族がその家を引き継ぐものとして特例の対象です。別居してしまうと分家したとして対象外です。出戻りして同居すれば対象です。
 (ウ)家なし親族
 通称、家なき子と言われている方です。配偶者も同居親族もいない場面では、家を引き継ぐ方がいません。そこで、このようなときは別居親族であっても家を引き継いで守ると特例の対象になります。ただし、すでに自分の居宅を所有しているような方は対象外です。分家独立後の家があり、実家を守る可能性が低いからです。
2 生計一親族の自宅の場合
 被相続人と生計一の親族は、被相続人と同じ生活単位で暮らしていた方です。そのため、生計一親族が住んでいた自宅敷地も同一視して特例の対象地に含めます。
 家制度的に考えるとその生活単位を引き継ぐ必要がありますので、特例が適用できる人は配偶者か、その生計一親族自身です。

3. 事業承継税制は隠居

 一定の要件を満たす非上場株式を引き継ぐ場合には、相続税と贈与税について納税猶予の特例があります。事業承継税制と言われている制度です。
 贈与税の特例は隠居制度をイメージすると良いでしょう。贈与では、代表取締役であった先代経営者は代表者から退いたうえで、株式を贈与しなくてはなりません。引き続き代表者に留まりながら後継者を補佐することは認められないのです。つまり、生前に隠居して家督を引き継がせるイメージです。

4. 家制度的な取扱いを賢く使う?

 税法では、家制度的な考え方が特に強い部分があります。それは、同居家族を1グループと捉えて制度設計がされることです。譲渡所得においてもこの傾向が見受けられます。同居なのか別居なのか、これにより取扱いがまったく反対になるケースが多いです。それならば、これを上手く利用するのもひとつです。ただし、税金のために引っ越しするのが苦で無ければですが。


 

2023年12月27日

会社を分けて簡易課税を活用!

 消費税の計算方法には2種類あることをご存知ですか。原則課税と簡易課税です。どこかでは聞いたことがあることでしょう。この簡易課税による計算、上手に使えばいろいろなメリットがあります。また、新たに始まったインボイス制度への対応でも簡易課税の利用価値があります。

1. 簡易課税のメリット

 消費税が課税される売上げ、この売上規模が5000万円以下であれば簡易課税方式によって消費税を計算することができます。ちなみに売上規模の判定は、原則として基準期間という2年前の売上げを用います。
 この簡易課税を選択すると消費税の計算が簡単になるばかりではなく、税メリットが生じることが多いです。
 例えば、貸店舗や貸事務所などの不動産賃貸業で課税売上げが4400万円(うち消費税400万円)、課税仕入れが880万円(うち消費税80万円)の場合を見てみましょう。
 1 原則課税での納税額
   売上消費税400万円 - 仕入消費税80万円 = 320万円 ⇒ 320万円の消費税
 2 簡易課税での納税額
   売上消費税400万円 - 売上消費税400万円 × 40% = 240万円 ⇒ 240万円の消費税
                                (原則より80万円お得!)
 簡易課税では実際の仕入れに係る消費税は計算せず、売上げに係る消費税の何割かを納めるだけです。割合は事業の業種区分ごとに定められていて、不動産賃貸業であれば上記のとおり売上げの40%を差し引いて、残りの60%を納めれば良いのです。
 つまり、実際の仕入れに係る消費税よりもこの割合が有利であると得をするわけです。特に不動産賃貸業の場合には、消費税を支払う仕入れが通常は売上げの40%も生じませんので簡易課税の方がお得になるはずです。なお、簡易課税では消費税還付を受けることができないため、多額の修繕費が見込まれるときなどは注意です。

2. 簡易課税を利用

簡易課税の方が有利なケースだと分かったら是非利用しましょう。しかし、先ほどのとおり年間売上高が5000万円超の方は利用できません。それならば、売上高を5000万円以下にすれば良いのです。


 1 法人の場合なら
 会社を分けて売上高5000万円以下の法人を作りましょう。事業を切り分けることになるため現実には難しい面もありますが、不動産賃貸業の場合であれば比較的簡単です。物件ごとに考えればいいですし、もし1物件であるのならばビルを区分所有にしてフロアごとの所有にする、共有にするなどを行えば1社当たり5000万円以下にできるはずです。年間売上高が税込1億円であれば、2社に分ければ良いのです。


 2 個人の場合なら
 生前贈与をする、一部を法人化する、などをして年間売上高を5000万円以下にできないか探ってみましょう。
 
 いずれにしても、不動産賃貸業の方は他業種に比べて実行し易いはずなので、消費税が課税される売上げが5000万円超の方は検討です。どれくらいの節税ができるのかをあらかじめ試算しましょう。新会社を作ると申告の手間が増えることになるため税理士報酬も増えるのではないかという心配が出てきそうですが、消費税のお得分が勝つのであればWin-Winです。さらに売上げが複数に分散することになりますから、法人税や所得税の観点からも有利に働くことでしょう。

3. インボイス制度だって乗り切れる

 簡易課税になれば、今話題のインボイス制度への経理対応も必要ありません。
 インボイス制度で最も厄介で面倒なことは、原則課税では領収書や請求書などからインボイス登録番号を1つ1つ確認して処理をしなくてはならないことです。簡易課税はそもそも仕入れに係る消費税を計算しませんので、インボイス登録事業者に支払ったかどうかなどは関係ありません。インボイス制度が導入されてもお構いなしというわけです。

4. 新会社の設立方法は要検討

 会社を分けるのであれば、新会社を兄弟会社とするのか、それとも子会社とするのか。この際ですので、相続時の分割対策も踏まえておくのが良いでしょう。1人に承継させたい不動産であれば子会社を設立する、子ども2人に承継させたいのであれば兄弟会社を設立するという具合です。
 また、設立手法には気を配る必要があります。通常通り新たに出資をして会社を設立するのか、それとも会社分割という方法を用いて設立するのか。設立後2年間の免税メリットが取れるか否か等に違いがあります。また、どちらを選択するにしても上手に計画実行しないと免税や簡易課税が利用できなくなる可能性があります。想定していた消費税の節税効果が無くなってしまっては元も子もありません。検討するのであれば税理士へ相談して進めましょう。

2023年11月30日

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今月の言葉

技術移転

 はじめに、以下のお話は、この稿の筆者が創作した、まったく架空のものであり、企業名等実在のものを連想されるようなことがあったとしても、それは読者の気のせいだということをお断りしておく。
 さて、鈴木君と加藤君は、1980年代、Japan as No.1の時代に同じ中堅大学の工学部を出て、大手企業初芝電機にめでたく就職した。鈴木君は半導体事業部に、加藤君は家電事業部にそれぞれ配属され、地方の製造工場などに勤務した後、本社の設計部門の技術者となった。二人とも入社後の人事評価は平凡なもので、可もなく不可もなく、とくに出世に遅れることも抜擢されることもなく、主任や課長になるのもほぼ同時、給料の手取額もほぼ同額であった。
 鈴木君の事業部での仕事は、ICカード用のセキュリティ機能の高い半導体の設計。デスクの隣には、学会などでも超有名な天才技術者がいて、初芝半導体設計の固有技術を一身に担っており、鈴木君はその天才技術者のアシスタントとして、彼の発想やノウハウを回路図に落とす仕事をしていた。一方加藤君の事業部は、冷蔵庫やエアコンなど初芝が第二次大戦直後から得意としてきた消費者向けの製品を手がけており、世間からは「初芝製品は値段も高いが品質は優秀」と評価されてきた。二人に逆風が吹き始めたのは、二十一世紀に入ってしばらく経ってから。鈴木君が設計してきたロジック半導体は、「少量多品種、手数ばかりかかって儲からない」とされて、戦略製品の座から外され、事業部はメモリ半導体に特化することになった。設計部門では、例の天才技術者だけは優遇されて技師長に出世したが、他のロジック半導体の設計者は別部門に転勤させられたり、早期退職奨励制度を利用して大学や他社に転出したりして、鈴木君のデスクの周囲はすっかり淋しくなった。そんなある日のこと、鈴木君に思いがけないヘッドハンティングのオファーが来た。
 隣国で半導体事業の強化を図っているデリラ電子の設計部門から、技術顧問に招聘したいというのだ。条件はなんと3年で契約金1億円。鈴木君はすぐに「これは自分の技術力ではなく、デスクの隣の天才技術者の知見がほしいのだな」ということがわかった。たしかに初芝電機も天才技術者のノウハウは、しっかり知財として確保しており、彼が他社に流出しないように優遇もしている。
 が、天才技術者のノウハウは、鈴木君の頭の中にもすっかり焼き付いている。鈴木君もちょっと迷ったが、一生の間に1億円というお金を一度に手にするチャンスは二度と来ないと思い、デリラ電子の招聘に応じる決心をした。もちろん退職にあたっては、初芝で知り得た機密は一切漏洩しないという厳しい約束をさせられたし、鈴木君も回路図を持ち出すなど産業スパイのようなことはしなかったが、回路図は鈴木君の頭の中に残っているし、デリラ電子技術顧問になってからの指導内容が前任社の機密に触れるかどうかは何の証拠も残らないのでわからない。
 一方の加藤君の家電事業部は、初芝家電という子会社に分離されたが、初芝は隣国の安い製品との競争に負けて、家電事業から撤退することになり、初芝家電は工場ごとなんと隣国のデリラ電子に売却されてしまった。そして加藤君を待っていたのは、リストラという名の馘首通告だった。
 さてここからは、我が国が技術力において、国際競争に負けないためには、どうしたらよいのかを問う課題です。初芝電機は、自社の半導体設計技術を守るために、平凡な技術者鈴木君に1億円を出して引き留めるべきだったでしょうか。それともあなたは、鈴木君も加藤君もほぼ同能力であれば、待遇は平等、給料はほぼ同額であるべきと考えますか。

2024年2月29日

徳川家康(続)

 武田対戦期の続きである。1579年、家康の長男信康を舅信長の命で切腹させるという大事件が起きる。通説では、信康の正妻五徳姫(織田信長の息女)による父信長への讒訴によって、信長が徳川の使者酒井忠次に信康の動向を問うたのに、酒井が一切庇わなかったのが原因とされている。が、昨今では、徳川軍団内の西三河(信康管轄、最も古くから服属している国衆)、東三河(酒井忠次の管轄、清須同盟後に服属した国衆)、遠江(家康直轄、「武士の専業化」に近い新しい形態の武士団)の内紛があり、家康自身が内紛の収拾のために信康を犠牲にせざるを得なかったという新説も出てきた。また信康と武田間の密かな連携の動かぬ証拠を織田に押さえられたのだという説もある。いずれにしても家康は驚異的な忍耐、自己抑制で長男信康を捨て、織田信長との連携を守り、その後1582年織田と共に武田勝頼を滅ぼし、対武田戦に最終勝利する。
 戦国最終期の有力大名期(1582年-)。武田滅亡の功によって駿河国を得て駿、遠、三の領主となった家康は、その直後に起きた本能寺の変によって織田の軛からも解放され、同年の天正壬午の乱によって甲斐、信濃も得て、全国区の戦国大名となった。甲子園で言えば、準決勝くらいにあたる。だが戦国大名の決勝戦の相手、羽柴秀吉とは、1584年の小牧長久手の戦いで勝利は得たものの、西日本を平定し経済面で圧倒的優位に立った秀吉に徐々に圧迫され、1586年ついに屈服し、臣下の礼を取ることを余儀なくされる。
 豊臣公儀期(1586年-)戦国大名の決勝戦で敗れた家康は、全国をほぼ統一した豊臣公儀政権の最有力閣僚となる。この時期の家康の最も重要なトピックスは、1590年秀吉の小田原征伐の後、戦国大名として営々と築き上げた駿、遠、三、甲、信五カ国の領邦を召し上げられ、新知として、後北条氏の領邦であった関東に移封されたことであろう。通説では、秀吉が大阪への軍事的脅威を取り除くために家康を遠ざけたと言うことになっており、確かにその側面もあったのであろうが、この稿の筆者は、一方で秀吉の日本統治政策の中で家康を以て「豊臣公儀内の東日本の仕切り人」(室町政権における関東公方の役割)とする意味もあったのではないかと推察している。移封後の家康が関東で金貨を基盤とする独自の通貨発行権を持ったこと、豊臣氏に対する潜在的な脅威であったにもかかわらず朝鮮戦役でも出兵を免れたことなどがその論拠である。秀吉の死後、1600年関ヶ原合戦の経緯(上杉攻め、関西での石田三成クーデター、東海地域までの大名を引き連れての西方への転戦、関ヶ原の戦いに勝利、術策を弄しての大阪城の占領)も「豊臣公儀政権の最有力閣僚」「東日本の仕切り人」という家康の立場を理解することによって読み解ける様に思う。
 江戸幕府期(1603年-1616年)この時期、戦国トーナメントで一度は準優勝に終わった家康は、最後のいわば復活戦で優勝を遂げる。その中で、注目すべきは、征夷大将軍就任後、当時政治経済の中心地であった大阪・伏見ではなく、草深い東日本の江戸に幕府を開いたことであろう。
 その理由については、政権の中枢を東進させることによって東日本の未開地開拓を促進し、長期的に見て日本の国内経済開発を図ったとする説がある。ⅰこの稿の筆者は、それだけでなく、豊臣公儀期の後半、家康は既に「東日本の仕切り人」として江戸に統治基盤を有していたのであり、その基盤を用いることによって豊臣公儀から相対的に離れた「新公儀」を設立することが容易であったからではないかとも思うのである。

ⅰ 本郷和人氏の説

2024年1月31日

徳川家康

 戦国時代における各地の大名達の興亡劇は、日本歴史の中でももっとも物語性に富んでいて、時代小説の半分以上は、この時期を題材にしていると言っても過言ではない。そして戦国期のことを少し詳しく調べてみると、日本中が一つの大きなトーナメント戦を展開していて、あたかも甲子園のごとく地区予選、甲子園の一回戦、準々決勝、準決勝、決勝と進んで、最後に徳川家康という人が優勝したというようにも読めるのである。この家康という人は、しかも地区予選でも殆どシード権を持っていなくて(豊臣秀吉ほどではないが)、地区予選の最下層に近いところから勝ち上がってきた。そして各々の時期で、家康は自分の生きがいや振る舞いを微妙に変化させてきたように見える。
 まず、竹千代期。(誕生1543年-)彼の実家の松平氏は、西三河の土豪中の有力者ではあったが、松平家自体が二十数家もあって、その中には竹千代の実家にとってかわる力がある家もあった。つまり周辺の国人衆(後に服属の度が強まって「三河以来の旗本」になる)とそれほど変わらぬ力しかなかった。東三河の戸田氏に騙されて織田家に売り飛ばされたり、捕虜交換で今川氏の人質になったり、軽い扱いを受けたのも松平家の実力がその程度であったことを示している。幼時の竹千代はその現実を受け入れるしかなかった。
 松平元康期。(元服1555年-)駿府の人質であったこの時期、彼は太原雪斎に見いだされ、後の築山殿を妻として、今川氏の縁戚に取り立てられ、今川の次世代の有力な部将候補となったものとこの稿の筆者はみる。今川軍団にもこの時期「武士の専業化」の萌芽が見られⅰ、元康にとっては、何か自分の新しい未来が開けたような気持ちだったのではないか。
 清須同盟期。1560年桶狭間の戦いの直後、松平元康は駿府に帰らず、今川氏の「捨てた」岡崎城に入城して独立。西三河の国衆を束ね、やがて敵対していた織田信長と同盟を締結する。
 岡崎入城の決断は、今川軍団内での自己の未来を捨て、西三河の国衆の武力を背景とする小領主としての自立を選ぶもので、相当の迷いがあったと想像される。それでも、元康が岡崎の国衆を選んだのは、義元の死によって今川軍団における自分の未来が見えなくなったと感じたこと、あるいは義元の後継者氏真との人間関係に齟齬があったことも想像される。三河の国人側から見れば元康の独立は、今川氏支配による収奪にあえいでいた彼らの現実からの解放を意味し、歓迎された。元康は、今川義元の偏奇「元」を捨てて家康と名告り、やがて織田氏の仲介で朝廷から三河守の官位に叙せられ、徳川家康と称するようになる。家康は東三河をも勢力圏に入れて戦国大名の最小単位である「国」の領主となる(いよいよ甲子園に出てきた)。その後は織田信長の天下統一事業に駆使されるようになるが、家康は誠実に同盟を守り一度も信長を裏切らなかった。
 武田対戦期。(浜松移転1570年-)左記は通常清須同盟期に含まれるが、筆者は三河と言う小国の領主から、遠江を得て東海地域の(弱小だが)戦国大名となったと言う意味で、トーナメント戦の重要な一階層を進んだと見る。この時期の家康は織田氏に服属しつつも名目上は同盟者として、強敵武田氏の西への侵攻を阻止する役割を全うした。1572年三方原では破滅に近い敗北を、1575年長篠・設楽原では織田氏との連合の下で決定的な大勝利を経験した。だが、その後1579年長男信康を舅信長の命で切腹させるという大事件が起きる。
 ここからについては、次号を参照されたい。

ⅰ 元康だけでなく、たとえば桶狭間で戦死した井伊直盛などもこうした国人から切り離されて
  今川氏に近侍する部将の候補だったのではないかと、この稿の筆者は考えている。

2023年12月27日

艦名(続)

本誌2016年3月号の本欄で、大日本帝国海軍の軍艦名を取り上げた。命名の規則として、戦艦は日本の律令制下の国の名、重巡洋艦は山、軽巡洋艦は川、一等駆逐艦は気象、二等駆逐艦は草木や花から名付けられたこと。おしなべて陸軍の装備命名が「勇ましい」基準であるのに対して、海軍のそれは優美であって、平和的であったことなどを述べた。
 さて、今号では、それを継承した現代の海上自衛隊の護衛艦の名前について取り上げたい。
 以下に述べるとおり、現在の護衛艦は、殆ど旧帝国海軍の軍艦名を踏襲している。ほとんどの艦に旧海軍の「先代」がいる。が、一つ大きな違いがあるとすれば、すべて平仮名で表記されていて、漢字ではないというところであろうか。
 周知の通り、海上自衛隊は、旧海軍が一度壊滅した後、米国から支給された小型艦艇で再建を始め、次第に大型艦を国内で建造するようになった経緯がある。そこで、まず、一番隻数が多い小型のDD(destroyer = 駆逐艦)クラスの名前から紹介を始めたい。「むらさめ」「はるさめ」「ゆうだち」「きりさめ」「いかづち」「あけぼの」「ありあけ」「たかなみ」「おおなみ」「まきなみ」「さざなみ」「すずなみ」「あきづき」「てるづき」・・・そのほか多数。概ね旧海軍の一等駆逐艦の命名を踏襲している。
 次に紹介するのは、ごく最近出てきたFFM(多機能フリゲート艦)という艦種で、こちらは、旧海軍の軽巡洋艦名をそのまま踏襲している。「もがみ」「くまの」「のしろ」「みくま」がすでに就役しているか、進水して艤装中である。艦の形状は、ステルス性に配慮してやや丸みを帯びた巨大な構造物が艦の側面からそのまま上部に向かって構築されている不思議なものだが、省人員で多様な用途に対応可能の由で、今後この種のフリゲート艦が多数建造されるらしい。川の名前の護衛艦は他にもあって、「あぶくま」「せんだい」「おおよど」「じんつう」「ちくま」「とね」(先代はいずれも第二次大戦期の軽巡洋艦としてよく知られている。とくに「大淀」は戦時中の一時期、連合艦隊旗艦を務めたこともある)はDE(destroyer escort)という艦種で、主に沿岸近海の防御の任に当たっている。
 山の名前は、というと、艦種名称はDDG(ミサイル護衛艦)で一般にはイージス艦として知られている。日本海に展開して大陸から打ち込まれてくるミサイルを迎撃する役割(そればかりではないが)を担っている。「きりしま」「こんごう」の先代は帝国海軍の高速戦艦であったし、「あたご」「あしがら」「まや」「はぐろ」「みょうこう」「ちょうかい」の先代はいずれも連合艦隊第二艦隊の代表的な重巡洋艦であった。
 そして国の名前は、DDH(ヘリコプター搭載護衛艦)。「かが」「いずも」「いせ」「ひゅうが」が現役であるが、先代との比較で少し詳しく述べると、先代の「加賀」はワシントン軍縮条約の結果廃艦になるはずであった戦艦を空母に改造したもの、先代の「伊勢」「日向」は航空戦艦と言って、戦艦の後部甲板を改造して航空機を搭載したもの。いずれも「艦種を空母に改造」がキーワードである。
 現代の海上自衛隊がかねて航空母艦を望んでいながら諸般の事情から許されなかったものが、今般ヘリコプター空母「かが」「いずも」の「改造」によって航空母艦をはじめて手に入れたのも、背後に命名者の願いを見ることが出来る、というのはいささかうがち過ぎだろうか。また、「いずも」の先代「出雲」は日露戦争時代の装甲巡洋艦であるが、第二次大戦期には第三艦隊旗艦として長く上海に駐留していたため、現代の中国人から「帝国主義的命名で印象が悪い」とか言われている。

2023年11月30日

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